国立音楽大学

くにたち*Garden

授業レポート:音楽授業に生かすボーカロイド〜バージョンアップしたVOCALOID 6を体験しよう〜

2024年7月、ヤマハ株式会社でボーカロイド開発チームに所属している吉田雅史さんをお招きし、音楽文化教育学科音楽教育専修の授業の一環としてボーカロイドのワークショップを開催しました。いまや絶大な人気をほこるボーカロイドですが、近年は教育の現場でも積極的に活用されています。ボーカロイドとは何か、ボーカロイドを使ってどんなことができるのか、開発現場の最前線にいる吉田さんに詳しく解説していただきながら、学生が新技術を使った作曲を体験しました。

ボーカロイドの歴史

ボーカロイドはヤマハが開発した歌声合成技術です。2003年に初代が発表された当時はあまり注目されませんでしたが、2007年に「初音ミク」が登場すると、スマートフォンや動画配信サービスの隆盛の後押しもあって大ブレイク。その後もバージョンアップが重ねられ、最新のVOCALOID 6にはAI技術を用いた新しい歌声合成エンジン搭載されています。今回のワークショップで使われたのもこちらのVOCALOID 6で、吉田さんがデモ曲を流すと、これまで以上に自然な歌声に学生たちからは「人間みたい」と驚きの声が上がりました。

吉田さんのお仕事はボーカロイドに関する企画やマーケティング、ウェブサイトのディレクション、PRから歌声素材のサンプリングなど多岐にわたります。もともとヤマハの歴史はオルガンの修理・製作に始まり、その後ピアノや楽器先般の製作を手がけるようになりました。一方で、飛行機のプロペラ、高級家具、バスタブ、スキー用品、パソコンといった楽器とは関係のない製品を作っていたこともあったそうです。(ちなみに、日本に現存するヤマハ製最古と考えられるアップライトピアノは本学の楽器学資料館に所蔵されているというご縁があります!)

「ボーカロイドの音を出してみよう」

今回のワークショップでは「ボーカロイドの音を出してみよう」というテーマで、参加者がVOCALOID 6を使って 1.聞いてみる 2.歌手を変える 3.音程を変える 4.テンポを変える という4段階のワークに挑戦しました。参加者が一様に驚いた点は、どの操作もとても簡単で、使いやすいこと。吉田さんにアドバイスをもらいながら、学生は思い思いに自分だけの歌声作りに取り組んでいました。メロディーラインだけでなくコーラスパートを変えてみたり、歌い方はそのままにVOCALO CHANGERの機能を使って声色だけ入れ替えてみたりと、夢中になっているうちにあっという間に講義時間が過ぎていきました。

最後の質疑応答タイムでは、発声やビブラートのかけ方といった歌声の調整方法に関する質問や、AIの搭載により実現した新機能について質問が出ました。それに対して開発の最前線の目線から回答していただけるという、充実したワークショップとなりました。

最後に

くにおんの音楽教育専修では、楽器の演奏以外にも様々なアプローチで音楽について学ぶことができます。今回は、音楽の授業やワークショップでの活用が加速しているボーカロイドを体験してもらいました。音楽ナビゲーターを目指す学生たちにとって、新たな刺激になったのではないでしょうか。

最後になりましたが、今回貴重な機会をご提供いただきました吉田雅史さん、そしてヤマハ株式会社の皆さま、どうもありがとうございました!

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