国立音楽大学

くにおん*Garden

五感を使った様々な体験が“いい音”につながる! ―「ピアノフェスティバル with くにおんピアノコンクール」

国立音楽大学は多くのイベントを開催し、最高水準の音楽環境と一流の講師陣たちの指導による優れた教育環境を広く世に示してきました。「ピアノフェスティバル with くにおんピアノコンクール」(旧:いい音出そう!ピアノフェスティバル)もその一つです。本学の教授陣による個人レッスン(小・中・高校生が対象)をはじめ、様々な体験や講義、ツアーなどが行われました。各講座やツアーについてご紹介します。

 

 

「身体で演奏表現を考えよう!(ダルクローズリトミック体験)」

まずはオーケストラスタジオで井上恵理教授による「身体で演奏表現を考えよう!(ダルクローズリトミック体験)」。「おはよう」など言葉を発し、井上先生が奏でるピアノの音色にあわせて強弱をつけていきます。その他にも、立ち上がる、歩く、参加者が協力し合って一緒に動くなど、音の変化にあわせて様々な動きもつけていきます。一人ずつピアノを弾き、なめらかな線や鋭い点を表現したり、お手玉を使って音色が上に飛んでいくイメージを味わったり、演奏表現にもつながる身体表現を学び、音楽を具体的に考えるヒントが提供されました。子どもたちそれぞれにとって「いい音」とは何かを考える機会になったことでしょう。

 

 

「ピアノの歴史を資料館で学ぼう!」

国立音楽大学楽器学資料館では「ピアノの歴史を資料館で学ぼう!」が行われました。パイプオルガン、チェンバロ、そしてピアノについて各楽器の歴史や構造を学び、学芸員によるデモンストレーションで音色やタッチの特性も体験します。バロックから初期ロマン派作品の演奏のヒントを得る機会が提供されていました。

 

 

「オルガン・チェンバロの響きを聴いてみよう!」

S.P.C.で行われた「オルガン・チェンバロの響きを聴いてみよう!」では、オルガンとチェンバロの実際の音色に触れていきます。まずは大塚直哉講師がオルガンについて、ピアノとの発音の違い、強弱や音色の変化の出し方に加え、オルガンの発音の仕組みについて、実演を交え丁寧に解説しました。

 

オルガンはピアノと同じく鍵盤のある楽器ですが、「風を送る楽器」であり、発音の仕方は全く違います。子どもたちは興味深く楽器の中を覗き込みながら楽器の構造について学びました。

部屋を変えてチェンバロについても体験。こちらは宮崎賀乃子講師が担当し、爪が弦をはじくことによって音が出る仕組みを丁寧に解説。

実際に楽器に触れる時間も持たれ、普段演奏するピアノとの違いに戸惑いながらも、新鮮な響きに感動している様子が印象的でした。

「ショパン時代のピアノの音色を聴いてみよう!」

楽器学資料館では久元祐子教授による「ショパン時代のピアノの音色を聴いてみよう!」も行われました。ショパンの作品は基本的に現代のピアノで演奏されますが、それと作曲家が実際に弾き、聴いていた音色と構造は違うものでした。この講座ではショパンが愛したピアノであるプレイエルやエラール、そして同時代のブロードウッドやグラーフといったメーカーによる楽器の音色、構造について、解説とデモンストレーションが行われました。また、ショパンの最も有名な作品の一つである「幻想即興曲」が取り上げられ、エディションの問題についても触れられます。

 

この曲は、出版時に友人であるフォンタナが簡略化したものが一般的に知られています。しかしショパンが実際に書いたものはより複雑で弾きにくいものになっているのです。今回は二つのバージョンの比較が行われ、聴きなれたものとの違いに驚く様子が見られました。最後は久元先生の「子犬のワルツ」やシューマン=リストの「献呈」の実演もあり、美しい音色と華麗な演奏に子どもたちは大感激の様子です。

 

「のぞいてみよう!ピアノの中身」

合唱スタジオで行われた「のぞいてみよう!ピアノの中身」は大津直規氏(元専任講師)によるピアノの構造の解説です。ピアノは鍵盤に触れば当たり前のように音が出ますが、そのたびに楽器の中では様々なパーツが動いているのです。その様子を実際にピアノのアクションや図を使いながら、丁寧に説明されていきます。その他、歴史や構造の進化についても解説がありました。この講座は、子どもたちはもちろん、付き添いの保護者のみなさんが特に強い関心をもってご覧になっていました。

 

 

「音楽図書館を見学しよう!」

国立音楽大学附属図書館での「音楽図書館を見学しよう!」では、約40万冊(うち楽譜15万点、AV資料8万点)という蔵書数を誇る本学の図書館ならではの、豊富で多彩な楽譜や書籍の一端に触れることのできる展示が行われていました。作曲家の自筆譜、複数のエディション、さらにピアノや楽器、作曲家に関する絵本、教則本などもわかりやすく並び、“調べる”、“学ぶ”楽しさに触れる機会が提供されていました。

 

 

「美しい響きのホールで演奏してみよう!」

最後は「美しい響きのホールで演奏してみよう!」です。抽選で選ばれた受講生が国立音楽大学講堂での演奏を体験するという、毎年人気の企画です。本年度は新たな試みとして「くにおんピアノコンクール」もフェスティバルと同時に開催されており、コンクールで受賞された方による演奏も最後に行われます。

 

 

演奏の前に、午前中から行われていたコンクールの結果発表が行われました。その際、梅本実学長、附属高等学校・中学校副校長の五十嵐稔先生による挨拶と講評が行われましたのでご紹介します。

 

梅本「たくさんのご参加をいただき、みなさんがそれぞれ素敵な演奏をしてくださりました。ぜひ今回の挑戦を励みにして、これからさらに力をつけてほしいと思います。」

 

 

 

 

五十嵐「みなさんとてもよく弾きこまれた演奏でした。ぜひ今後の課題として、ホールの空間や響きを意識していただきたいです。会場やピアノの大きさによって残響が変わり、タッチやペダルの踏み方は変わります。よく耳をつかって演奏することを心がけてください。また、自分が思っているよりも会場には変化は届きにくいものです。もっと思い切ってコントラストをつけるなど工夫するようにしましょう。そして鍵盤は押すときだけでなく、離すときも重要です。弾いた後の音色にも耳を澄ませてみましょう。」

学長挨拶と講評のあとは小学校、中学校、高等学校のそれぞれの部門で奨励賞、優秀賞、最優秀賞の授与が行われました。そして受賞者を含めた演奏会では、ホールの響きを味わいながらみなさんがとても丁寧な演奏を届けてくれました。フェスティバルで行われたレッスン、そしてコンクールで得たものを活かしていることが伝わってくる演奏は、とても魅力的に会場で響きわたっていました。

 

 

「ピアノフェスティバル with くにおんピアノコンクール」は、個人レッスンやコンクールについては小学生から高校生までが対象ですが、数多く開かれている講座の受講はピアノ指導者を含む一般の方も参加可能です。今後も夏に開催される予定なので、ぜひ参加して自分の“いい音”を探すヒントにしてみてください。

 

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