国立音楽大学

音楽徒然草

第17回 「くにたちの<音>」 森垣 桂一 教授

森垣 桂一 教授

 東京では毎日どこかでコンサートが行われています。すばらしいプロフェッショナルの演奏会も聴きごたえがありますが、私は国立音楽大学の学生たちのコンサートに行くことを楽しみにしております。そこでは、いつも「くにたちの<音>」に出会うことが出来ます。

 7月の始めに東京オペラシティのコンサートホールでブラスオルケスターの定期演奏会を聴きました。学生たちは独奏の武田忠善先生と演奏することを楽しみ、満員の聴衆とひとつになって、吹奏楽の響きをこえた何かもっと艶やかな<音>を紡ぎ出していました。

 3、4年生のオーケストラの授業での成果は、オーケストラ定期演奏会等で披露されます。かつてオーケストラの授業を見学させていただいたことがあります。指揮者を中心に、各楽器の日本を代表する先生方が共同で学生たちと<音>を創りあげていく過程は、ほんとうに素晴らしいものでした。7月のオーケストラ定期演奏会では、学生たちの力強い演奏に私もいつまでも拍手を送りました。

講堂前のカリヨン
講堂前のカリヨン

 この9月には、新校舎落成記念マスタークラスシリーズとして「音大交流作曲ワークショップ」が新オーケストラスタジオで開催されます。東京の音楽大学作曲科から選ばれた学生たちの室内楽作品が演奏され、その後シンポジウムが行われます。私は昨年のワークショップに参加した際に、各音楽大学の性格が学生たちの<音>にもはっきりと現れていて、とても興味深いと思いました。本学の作曲の学生の<音>は、おおらかさと発想の自由さにおいて際立っていました。

 3月に予定されていながら震災の影響で延期されていた、作曲専攻4年生有志による自主コンサートが9月6日に大泉学園ゆめりあホールにて行われます。若い彼らが国立で発見した<音>を聴きたいと思い、今から楽しみにしています。

 私が20代にパリ国立音楽院の授業でO.メシアン先生に言われた言葉が今でもはっきりと心によみがえります。「20世紀の日本という国に生まれたあなた自身の<音>を追求していきなさい!」

 国立音楽大学では講堂大ホールの前のカリヨンが大学のシンボルになっています。その47の鐘の<音>がコンサートの開幕を告げます。さあ、「くにたちの<音>」を聴きに行きましょう。

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