音楽徒然草
第27回 「日本一のくにたちの学び」 三浦 徹 教授
早いもので国立音大に務めて37年、ユーフォニアムという知名度の低い金管楽器の専攻生が今では25名という大きな研究室に育ちました。また、専任教員に就任してからは、吹奏楽も担当、昨年末には、シカゴのミッドウェスト・クリニックに多勢の学生たちと共に参加、国際舞台で「くにたちの学び」について高い評価を頂きました。
ユーフォニアムは、サックス同様、オケにはない歴史の新しい楽器です。私の学生の頃は、小バス、バリトンと呼ばれ専門家の少ない分野でした。昔、山本直純さんの「オーケストラがやって来た」というTV番組に出演した時の事、直純さんが "この楽器は何ていうの?" と尋ねます。私が "ユーフォニアムです!" と答えると、直純さんは "みんなで言ってみよう!ユーフォニアム!ユーフォニアム!ユーフォニアム!" あの大きな声で三回も連呼して戴きました。
また、N響アワーの「楽器交友録」に出演した時は、壇ふみさんに "今夜のお客様は、ユーフォニアムです!" ときれいな声で紹介して戴きました。今の学生たちに話すと笑われるくらい前の話です。
ヨーロッパにおける吹奏楽は、冠婚葬祭など人々の暮らしになくてはならない「文化」という位置付けです。米国では、学校教育の中の授業として「教育」。しかし、日本においては「たいへん盛んな現象」と評されています。やはり吹奏楽コンクールの弊害でしょうか、愛好者がいくら多くいても内輪の盛り上がりだけで終始するのは何故でしょう?そういう諸々の背景があって国立音大では「学問としての吹奏楽」を掲げ、文化や教育になるように指導にあたっています。学問とは、筋道の立った指導法・学習法を意味しますが、吹奏楽に関する歴史研究、作品研究、メソード、、、いずれをとっても本物ではない、見せかけの多い中、吹奏楽についての「くにたちの学び」は "ブラスオルケスター" と "ウィンド・アンサンブル" の二つのスタイルの "真髄" を学び経験出来る環境を学生たちに提供する事によって次代の指導者、演奏者を育成しています。
また、今年の8月25日(土)日本管打楽器コンクールのユーフォニアム部門の本選会が、国立音大の講堂大ホールにて開催されます。その本選終了後、歴代の優勝者が集い国立音大ブラスと共演します。このウィナーズ・コンサートの演奏者のすべてが本学の卒業生であるという事が「くにたちの学び」の大きな証明となるでしょう!「日本一のユーフォニアムの学び」「吹奏楽の現在(いま)をリードする!」ご来場を歓迎致します!(16:00開演 入場無料)