国立音楽大学

音楽徒然草

第5回 「猛暑に想う」 大関 博明 教授

大関 博明 教授

 夕方になると、ヒグラシの声が聞こえてくる季節となりました。梅雨明けしてからずっと続くこの猛暑は、いったいいつまで続くのかと思いやられる今日この頃です。

 大学では受験生のための夏の受験準備講習会が行われました。この猛暑にもかかわらず日本全国から多くの受講生が参加してくださいました。この講習会でできるだけ多くのものを得て、半年後の入試に生かすことができますように、そして今度は国立音大生として皆さんに再びお会いすることができますように。

練習風景

 ところで最近私たち教員も大学内で演奏する機会がずいぶん増えてきたように思います。
教員、プロのオーケストラで活躍する卒業生、学生などで組織するクニタチ・フィルハーモニカー、また教員同士での室内楽など、仕事量が増えて大変になりましたが、アンサンブルの魅力に取りつかれ楽しんでいます。学生の間でも室内楽やいろいろな楽器を組み合わせたアンサンブルが以前に比べずいぶん盛んになってきたように思います。同属楽器はもちろんですが、違う楽器とのアンサンブルから学ぶことはとても多く、共に音楽を作るという作業は何ものにも代えがたいものであると思います。
 パソコンが普及し始めた頃のことです。「弦楽四重奏団」と書きたくて文字変換を行ったところ「減額始終相談」と出てきた時にはあまりに的確、言いえて妙ありでびっくりしたのを覚えています。

メタセコイヤ

 私が夏休み中の最もたいせつにしている仕事の1つに「草津夏期国際音楽フェスティヴァル」があります。私の都合で過去4回ほど休みましたが、今年で31回を迎えます。今回は今までに何回も共演させていただいたウィーンフィルの前コンサートマスター、W・ヒンク氏、その他同じくウィーンフィルのソロチェリスト、T・ヴァルガ氏、ヴィオラだけでなく現在は指揮者としても活躍しているH・P・オクセンホファー氏、バンベルク交響楽団で同僚だったホルンの水野信行氏等とモーツァルトのディヴェルティメント ニ長調 Kv.334を演奏することになりました。毎年思うことですが、この体験は私にとって人間ドックならぬ音楽ドックに入るようなものなのです。1年間溜まった音楽上の悪いものを洗い落とし、リフレッシュしてまた1年間の糧を得る貴重な瞬間です。

 暑い暑いと室内に閉じこもってばかりでいられません。楽器と格闘することだけが勉強ではありません。時には頭を空っぽにして遊ぶことも必要でしょう。
 そしてまた、新たな気持ちで新学期をむかえましょう!

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