国立音楽大学

音楽徒然草

第25回 「未来の自分へ」 本島 阿佐子 准教授

本島 阿佐子 准教授

 桜の開花と共に始まった新学期。今年はベストタイミングでしたね。
 入学早々から盛りだくさんの基礎ゼミメニューでくにたちの洗礼を受けた新入生達、意気揚々と学びの意識を高く持って授業やレッスンに臨んでくれると信じています。

 ピカピカの一年生でなくても、誰でもいつでも新たな気持ちで未来にスタートを切れます。みなさんの中に可能性は泉のように限りなくこんこんと湧いているのです。そして夢は生きるためのキラキラのもと、いのちの燃料です。こんな素晴らしい宝が自分の中にあることを忘れてしまっていませんか。さあ、夢を使って人生にどんどん魔法をかけましょう。

 10年後はどんな自分になっていたいですか?
 1年後、卒業後、10年後、そしてもっと未来。その時にやっていたいこと、なっていたい自分をいくつかの期間に区切って思い描き、自分の夢マップを作ってみましょう。次に、そのために出来る「何か」を考えます。今の自分にできるどんな小さなことでも構いません。そして、それを必ず行動に移します。(ここが肝心、頭で考えているだけではダメです。)これでスイッチオン、目に見えない何か(運命?)もきっと動き出すでしょう。
 さあこれで未来のための一歩「今日」の過ごし方が変わります。
 学生のみなさんは目の前の「学ぶこと」が夢に繋がる大切なアクション(行動)になりますよね。なんと言ってもくにたちにはそのための材料がごろごろ、まるで宝の山です。これを使わない手はありません。

  ところで私にとって「勉強」といえば教えてもらった情報をひたすら詰め込むもの、「せねばならぬもの」mustでした。だから中学,高校時代はずっと勉強嫌い。大学時代も取得学科は必要最小単位、なるべく避けて通ってきました。
 こんな私も不思議なことに歌は今まで飽きずに学んでいます。大の練習嫌いにもかかわらずです。なんとか練習にこぎ着けると(始めるまでが大変)ああでもない、ここがなんとかならないか、とひとたび夢中になってしまえば時間を忘れます。いまだにmustの嫌々練習も多々ありますが、「上手くなりたい、知りたい、伝えたい」というwantが次から次に出てくるのでそれに挑戦するのが面白い、だからヤメラレナイのでしょうね。

 学生時代に大大大苦手だったドイツ語は、留学を具体的に夢見た時からやる気満々に。「話したい」好奇心がむくむく湧き、俄然面白くなりました。全くこちらの姿勢ひとつで世界は変わります。
 毎日こつこつ練習を重ねている音大生さん、あなた達は誰よりも忍耐強く、さらに耳まで良いときています。そう語学習得に絶対向いているはずです。言葉は文化、今学んでいる西洋音楽に関わる大切な西洋の薫りです。外国語嫌いなアナタ、その「嫌い」を手放しましょう。「話してみたい」と思った時点でもう世界は広がります。伝わるって楽しいですよ!
   小さな子供がペラペラ喋っているでしょう?どうやって日本語を話せるようになりましたか?思い出してみてください。そして赤ちゃんに戻って「マンマ」から始めましょう。数年たてばもう幼児です。
 夢中になれるものはどんどん吸収できると信じています。「好きこそものの上手なれ」です。「せねばならない」must勉強の中に自分が好きになれる要素を発見し、wantにシフトしましょう。世界はきっと変わるはずです。
 今まで知らない自分に沢山出逢えるといいですね。
 そしてたくさんの夢を叶えていきましょう。
 そのためにもくにたちの宝の山を大いに利用してください。

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