カリアリ国際音楽アカデミー(イタリア・カリアリ)
有馬 彩加 3年 演奏・創作学科 声楽専修
研修概要
研修機関:カリアリ国際音楽アカデミー
研修期間:2016年8月24日~9月1日
担当講師:ルチア―ナ・セッラ教授
研修目的
ベルカント唱法についての勉強
研修内容
○研修先について
イタリアもサルデーニャ島の最南端の街、カリアリで毎年開催されているカリアリ国際音楽アカデミーに参加してきました。カリアリの音楽院(conservatorio)にて開催されるため、レッスン室や練習室はそれなりに整っていました(練習室のピアノはその限りではありませんでしたが・・・笑)。
カリアリと言えばこの時期リゾート地として多くのひとでにぎわっているのかと思っていましたが、音楽院や滞在先のホテルのある場所は中心街(centro storico)から離れていて少し郊外のほうだったので、お店なども少なく、物価も安かったです。
初日の午前中に開催式というのがあり、そこで生徒は先生に挨拶してレッスンの日程などを決めていくということになっていたのですが、そのときにセッラ先生は現れませんでした。その日の夜に初めて会うことができたのですが、スカラでの仕事のために予定より3日早く出発しなければならないと告げられました。これは事務の問題ですが、結局私たちは9日間の受講予定だったのが5日間になったということを先生から直接聞かされることになりました。それまで問い合わせなどにも迅速な対応をしてくれていたので、イタリアにしてはかなり優秀な事務だと思っていたのですが、さすがイタリアだなあと大笑いしました。
○レッスンについて

受講期間中の5日間は毎日30分の個人レッスンがありました。みんな自分以外の受講者のレッスンも聴講していて、毎晩生徒か先生方によるコンサートが開かれていたので、毎日ホテルと学校を行ききするしかできないくらい忙しくしていました。
セッラ先生は親日家で、時々覚えたての日本語を披露してくれたり、レッスンは和やかな雰囲気でした。時間にも正確で、レッスンの時間もきちんと守ってくれていて、そういった面でも安心してレッスンを受けることができました。歌い手だからやはり発音が綺麗で聞き取りやすかったため、語学ではあまり不自由しませんでした。
セッラ先生は繰り返しこのように言っていました。"Cantare è la cosa più naturale al mondo. Godiamocela! Lo studio del canto significa lavorare sui muscoli, non sulla voce né spostando la posizione. Non dobbiamo cambiare la voce, ma dobbiamo cercare il colore. Il cantante stesso deve trovare dentro di sé questa cosa. "「歌うことというのは世界で一番自然なことなの。楽しみましょう!歌の勉強というのは筋肉に働きかけることであって、声自体に働きかけたりポジションを変えたりすることではありません。私たちは声を変えるのではなくて、音色を探すのです。歌い手というのは、それを自分自身の中にそれを探さなければいけません。

コンサートについて

学生によるコンサートは、各クラスの講師によって選ばれた生徒だけが出演できるというものでした。歌のクラスは12人いて、私は最年少でまだまだ未熟なのでまさか歌わせてもらえることはないだろうと思っていたのですが、3人のうちに選んでいただき、貴重な経験をすることができました。開場は音楽院の近くにあるTホテルという場所で、綺麗で楽しく歌うことができました。ほかの楽器の出演者の方々も素晴らしい演奏を披露していて、いい刺激をたくさん受けることができました。
本島阿佐子先生のコメント
有馬さんはカリアリ国際アカデミーでセッラ先生に5日間毎日レッスンを受け、その間、クラスの仲間の聴講をし、夜はコンサート、と講習会ならではの盛り沢山なスケジュールをこなしました。クラスの写真からは日本人参加者も多そうですが、国際的な仲間と交わりが持てたこと、そして様々な演奏会に参加して本場の音楽にふれたことは刺激的で大変貴重な経験だったと思います。
イタリア語はかなり勉強していったようだと見受けられますが、勉強したことが生きて、言葉に困らなかった事は大きな自信になったことでしょう。セッラ先生の哲学とも言える素晴らしい教えに触れられて、大きな学びを得たと思います。ただ、レッスンで彼女自身が何を学んだのかをもう少し詳しくレポートしてもらいたかったですね。どの部分に彼女が刺激と学びを得たのか興味があります。12名中の3人に選抜されたコンサートもさぞかし自信に繋がったことでしょう。この経験が今後の学びに活かされることを期待します。