国立音楽大学

リリカイタリアーナ イタリア・ベルカントツアー(イタリア・ベッルーノ)

四間丁 愛里 4年 演奏・創作学科 声楽専修

研修概要

研修機関:リリカイタリアーナオペラ主催 イタリア・ベルカントツアー
研修期間:2018年8月12日~8月28日
担当講師:ウィリアム・マッテウッツィ先生

研修目的

大学で声楽を学び、多くの人の演奏を聴いてきたことで、取り組んでみたい曲が増えた。そのために必要な声楽の技術である、発声方法や音楽表現の仕方をより向上させたいと思った。また、イタリアでレッスンを受講し、現地の音楽や空気に触れることで、さらに自身の視野を広げることに努める。

研修内容

研修は、ヴェネツィア空港からバスで1時間30分ほどの場所にある、周辺を高い山々に囲まれた小都市ベッルーノのホテルで行われた。毎日レッスンがあり、集会室のような場所に電子ピアノが置いてあった。1人40分(演奏会当日は発声のみで15~20分程度)行われ、常に伴奏の先生が通訳してくださった。ホテル内にある集会室のような場所を2か所と、ホテルの前にあるホールを1か所、合計3か所でそれぞれレッスンが行われた。一般の観光客の方々も宿泊されているため、声出し時間に決まりがあった。基本的に、レッスンは10時~13時と16時~20時の枠内で行われ、30分前から各レッスン部屋で声出しが可能であった。しかし、客室内での声出しは不可のため、新しい曲の譜読みや練習をする際には、声出し可能時間に中庭の広場で軽く歌っていた。

レッスン1日目

ホテル到着後部屋に荷物を置いた人からホテル前にあるホールに向かった。全員が集まるまで各自声出しを行い、名前を呼ばれた参加者から順番に舞台に上がり1曲歌う声聴き会が行われた。この時、初参加者のみが演奏の対象となり、時間の関係もあるため途中で止められた。1クラス10人程度で分けられ、初回のレッスンがスタートした。初回は発声がメインで、丁寧に指導していただいた。

レッスン2日~3日目

主に発声をメインでレッスンをしていただいた。押して声を出してしまう癖がついており、体の余計な部分に力をかけないようにするための発声の勉強に取り組んだ。ポルタメントを利用しながら音階のすべての音を響きの増減なしで歌う感覚が難しく、苦戦した。また、UとOの母音で声が鼻にかかる点の改善に取り組んだ。口の形に注意しながら、口の中の空間に改めて意識をもち、常に軟口蓋を高く上げて歌うことの指導を受けた。意識しすぎて体が固くなってしまい、思うようにいかないこともあった。しかし先生が熱心に指導してくださり、改善に向けて取り組んだ。

レッスン4日〜10日目

事前に10曲程度用意したレパートリーの中からは、1曲レッスンしていただいた。

《Le nozze di Figaro》 ”Voi che sapete che cosa è amor“/《フィガロの結婚》より“恋とはどんなものか知っておられる方”

Oの母音で鼻にかかった声になることがこの曲において顕著に現れたため、改善に取り組んだ。その改善のために、自分が思っている以上に口の形を丸くし、魚の口を意識して歌うことが必要となった。先生が何度も口の形を見せて示してくださった。また、跳躍音程が多く、高い音に上がる際に押してしまうため常に軟口蓋を上げ、意識して口の中の空間を作りながら歌うことで、自然に声が流れていった。それに伴い、レガートに歌うための方法についても指導していただいた。歌う時の声の出し方の意識の甘さを痛感したが、より歌いやすい方法を見つけることができた。

以下の曲は現地で先生から紹介していただき、レッスンに取り組んだ。

《Dido and Aeneas》 ”Thy hand Belinda,…When I am laid in Earth ”/《ディドとエネアス》より“あなたの手をベリンダ…私が地に横たわる時”

始めに、細かく英語の発音を確認してくださった。音程が下がる傾向があるため、それを保つための練習を行った。また、レガートに繋げて歌うための、発音の仕方や、魚の口の形を保ちながら歌う指導をしていただいた。

《Music for a while》/つかの間の音楽

この曲の前に指導していただいた曲で学んだ歌い方に留意して取り組んだ。細かい音符が、階段のようになって聴こえてる点の改善のために有効な曲となった。そして、無駄な力をかけずに、自然な声の流れでレガートに歌うための方法を学ぶことができた。また、フレーズに合わせて、ダイナミクスを動かしながら流れを作る方法や、ビブラートの量を変化させて歌う方法の指導をしていただいた。

レッスン11日目以降

最後の演奏会で”Thy hand Belinda,…When I am laid in Earth ”を歌うことに決まった。そのため残りの期間は、この曲と発声のレッスンに専念した。

研修を終えて

演奏会後に先生と
演奏会後に先生と

この講習会に参加したことで、レッスンを受講したいと考えていた先生のもとで15日間毎日レッスンを受講することができるという、大変貴重で素晴らしい時間を過ごすことができました。レッスンでは、悔しい思いをすることもあり、レッスンに向けての準備に何度も奮闘しました。1日の時間をどのように使うかという、時間の貴重さを改めて痛感し、日々の積み重ねの重要さについても改めて感じました。15日間のレッスンでは、先生の熱心な指導から得るものは多く、丁寧に時間をかけて優しく時に厳しく指導してくださり、本当に感謝の気持ちで一杯です。また、他の受講生のレッスンの聴講からも学ばせていただけたことは多くあり、大変充実した日々を送ることができました。今回の学びを活かし、これからも練習を積み重ね精進してまいります。

今回このような素晴らしい機会をくださり、応援してくださった学生支援課の皆様、先生方や家族に心からの感謝を申し上げ、研修報告書の結びとさせていただきます。

久保田真澄先生のコメント

本学で勉強を続けていく中、取り組みたい曲が増えていき、それらを歌うためにより良い発声、技術を身に着けるためにこの研修に参加したとのこと。
初日にはオーディションがありクラス分けが行われ、マッテウッツィ先生のクラスに入れたようだ。3日目までは発声のみのレッスンとなり研修生が感じている「声を押してしまう」という問題点の改善にあてられ、4日目以降曲を使ってのレッスンとなったとのこと。
その中でマッテウッツィ先生から「Le nozze di figaro」からVoi che sapete, 「Dido and Aeneas」からThy hand Belinda, 「Music for a while」などの曲をもらい、言葉の発音、求められる音楽からさらなる発声の訓練をしたようだ。研修最後のコンサートでは「Dido and Aeneas」を演奏し締めくくった。

ベッルーノは避暑地ということもあり一般の観光客も多く、音を出すことに関してはどうしても制限があり苦労したようだが、時間の使い方、日々の努力の積み重ねの重要さなど研修を通して大事なことを学べたようだ。
今後の四間丁さんの成長に期待したい。

PAGE TOP

お問い合わせ・資料請求
学校案内、入学要項などをご請求いただけます
資料請求
その他、お問い合わせはこちらから