国立音楽大学

ウィーン夏期国際音楽ゼミナール

林 理紗 4 年 演奏学科 弦管打楽器専修(フルート)

研修機関:ウィーン夏期国際音楽ゼミナール
受講期間:2012年7月30日~8月10日
担当教授:Prof. Erwin Klambauer

ウィーン夏期国際音楽ゼミナールはオーストリア大統領ハインツ・フィッシャー氏の全面的な支援によって開催される、今年で42回を迎える歴史と伝統ある講習会である。ウィーン国立音楽大学を中心に世界各国の教授が指導にあたる。

研修目的

私の課題である「感情を音で表現すること」を少しでも克服するためである。クラシック音楽を育んだヨーロッパでレッスンを受け、生活し、においや空気を感じることで、私が理想とする「人の心に響く、記憶に残る演奏」に近づくための何かきっかけやヒントを得ようと思った。さらに、ヨーロッパ諸国を始め、世界各国の教授、受講生との様々な交流や日本ではあまりできない経験を通して視野を広げることが、演奏面だけではなく、自分自身の成長につながると考えた。
また、将来留学を希望しているので、実際に海外で生活し現地の言葉でレッスンを受け、海外で生活・勉強することの良さや厳しさを肌で感じる良い機会であった。

〈研修日程〉

7月30日(月) オリエンテーション、レッスン1、オープニングイベント
8月1日(水) 教授陣によるコンサート
2日(木) 聴講(レッスン2)
3日(金) 聴講(レッスン3)
5日(日) 参加者によるコンサート、シューベルト記念館訪問
6日(月) 聴講(レッスン4)
7日(火) レッスン5
8日(水) レッスン6
9日(木) 選抜者によるコンクール、参加者によるコンサート
10日(金) レッスン7、受賞者によるコンサート

講習会について

今回、私はErwin Klambauer先生のクラスを受講した。先生とは3年前に知り合い、今までに何度かレッスンを受け、日本でのコンサートにも伺った。今回講習会に参加することも4月にお会いした際にお伝えし、ウィーンでの再会を楽しみにしていた。

Klambauer先生のクラスには、6名の生徒が参加していた。日本人2名、台湾人1名、オーストリア人1名、韓国人2名(2日間のみ参加)である。韓国人の2名は不在であったが、それ以外の4名は初日にレッスン室で顔を合わせた。レッスンの予定を決めた後、先生や伴奏者とそれぞれの国のことや何の曲を準備してきたかを話したり、日本語や中国語の挨拶を教え合ったりしてすぐに打ち解けあうことが出来た。
レッスンは基本的に1時間のレッスンを2週間で4回であったが、先生がいらっしゃる日に聴講を兼ねてお手伝いをしに行っていたら、レッスンの終わりや空いた時間に少しレッスンをして下さった。

また、参加者や教授陣のコンサートや選抜者によるコンクール、シューベルト記念館訪問などのイベントがたくさんあり、充実した内容であった。

レッスン、イベント

7月30日 W. A. モーツァルト/協奏曲第1番 第1楽章

オリエンテーションの際に「今日はモーツァルトを聴かせてくれる?」と言われたのでレッスンで見て頂くことにしたが、この曲は以前見て頂いたことがあったので急に不安になってしまった。少し緊張したまま演奏を始めたが先生がにこにこ聴いていて下さって、不安はなくなり楽しく演奏出来た。展開部まで通すと「とても良い!2年前より大きく進歩しているね」とおっしゃって下さった。その後「アーティキュレーションはいくつかの可能性がある」と、先生が推奨するいくつかのアーティキュレーションを楽譜に書き込んで、「世界中の先生が様々な意見を言う。そして、あなたがその様々な意見を知ることが大切。でも、最後はあなたにとってベストなものを自分で選ぶことが大切だよ」とおっしゃった。今回書き込んで下さったアーティキュレーションの中に自分なりに考えて選択していたものがいくつかあり、嬉しかった。もっと勉強を重ね、自分が納得出来るより良いものを選んでいこうと思う。第2主題ではひとつひとつの音を響かせることについての指導を頂いた。私は速いパッセージになると息の流れを止めてしまっていたので、「途切れることなく、始まりの音からフレーズの終わりまで大きなアーチがかかっているように」気を付けると、貧弱な音になっていた箇所が豊かな音に変わった。難しいテクニックではなく少しの意識でこんなに変わるのかと驚いた。展開部と再現部ではより良い演奏にするために、「オペラの中で歌い手が変わるように」、「赤ちゃんを抱くようなdolce」等、たくさん例えを出しながら指導して下さり、カデンツァまで演奏し、レッスンは終了した。最後に「強弱、音色、表情をよりハッキリ変化させるように。変化が聴衆を楽しませる」と教えて下さった。初日から「人の心に響く、記憶に残る演奏」に近づくヒントがたくさんある、興味深い、充実したレッスンであった。

レッスンの後、学校の近くのレストランに連れて行って下さり、そこで9日のコンクールに出てみないかとお誘い頂いた。このコンクールは講習会中に行われるもので、各クラス1〜2人選出される。準備した曲を伝えるとモーツァルトとドビュッシーの「シリンクス」が良いと提案して下さり、この2曲をコンクールで演奏することになった。

7月30日オープニングイベント

初日の夜、フルート、歌、ピアノの教授の門下生が大学で演奏を披露した。フルートの学生が演奏する際に譜めくりをしていたのだが、後ろで聴いていても彼女の演奏は、美しくはっきりした音色と共に聴衆に訴えかける強い主張があるのが分かった。これが国民性による音楽性の違いなのかと衝撃を受け、それを感じられたことが嬉しかった。

8月1日 教授陣によるコンサート

コンサートは旧市街から5分程のところにある旧市庁舎のバロックホールで行われた。

そこは赤い絨毯と立派な彫刻が厳かな雰囲気を醸し出していた。私は譜めくりを頼まれていたのでリハーサルから立ち会い、集中しながらも穏やかなリハーサルを聴いたり、先生方とお話しすることが出来た。そこで、演奏家であり指揮者でもあるKurt Schmid先生が“espressivo”について「情熱的に演奏するというのは音量とは関係なく、心の内側から強く訴えることだと思う。fでもpでも。最近、多くの学生が“espr”を見るととても大きな音で演奏するけどね」とお話しして下さった。「感情を音で表現すること」のヒントのようで、とても印象に残っている。

コンサートが始まり、フルート、ピアノ、歌、ヴァイオリン、ピアノ連弾と、素晴らしい演奏が続いた。フルート以外は舞台袖から聴いていたが、先生自身が楽しんで演奏されるのはもちろん、当たり前のように聴衆を惹きこんでいくことに感動した。このコンサートで、「人の心に響く演奏をするフルーティストになりたい」という思いが強くなった。

8月2日 ドビュッシー/シリンクス

初めに暗譜で演奏すると、「Ah! Sehr gut! Sehr schön! とても美しい!」とおっしゃって下さり、その後フレージングのこと、休符やブレスの間が音楽的ではなく同じような間になっていることを指摘された。その改善方法として、1つのフレーズを1つの大きな線のように感じること、休符やブレスは音楽の中で行い、流れを止めないように注意することを提案して下さった。先生が大きな身振り手振りや分かりやすい言葉でそれぞれの音色やフレーズの表情、強弱、方向性等を演奏しながら説明して下さったが、その場ではうまく表現出来ず、自分の対応力の無さを痛感した。しかし、先生がたくさんのアイディアを提案しながら実際に演奏して聴かせて下さったおかげで曲や音のイメージがより具体的になったので、これから曲bを作り上げていく際に役立てようと思う。また、この曲の終盤に差し掛かるところのBについて話しているとき、「ところで、強弱、ヴィブラート、明暗の差をうまく使うと同じBbでもこれだけ違う音が出せるよ」と、様々なBbを聴かせて下さった。pppからfffまで自由自在に操り、更に同じpでも赤ちゃんを抱っこするような優しいp、ため息のような悲しいp、こっそり聞き耳を立てているようなわくわくするp......fだったら王様のような威厳のあるf、怒り狂うf、情熱的な熱いf、「これで、ヴィブラートを遅くしてクレッシェンドすると何かを期待しているように聞こえない?」と、ヴィブラートや明暗の差も聴かせて下さり、音を簡単に操るように吹き分ける先生に感動した。私は日本のレッスンでも音色の変化についてよく注意され、前回のレッスンでも指摘を受け、自分自身でも曲中bで音を変化させてたくさんの音色を使って演奏したいと思っていたので、先生が出すBは衝撃的で、音色の変化についての関心が高まった。今よりもっと音色にこだわって演奏しようと決意した。

8月3日 J. S. バッハ/パルティータ BWV1013Allemande, Corrente

Allemandeを1度通すと、「Wunderbar!!和声を理解して、どこの声部を演奏しているかよく考えているね」と褒めて頂けた。普段、バッハやテレマンを演奏するとき、1番に気を付けて大切にしていることだったので、とても嬉しかった。「でも、重く歩いているようで演奏が少しスマートでない」と指摘され、改善方法として「強調するBassの音以外は流れるメロディーのように」演奏してみると、重く、歯切れが悪かった演奏がすっきりしたのがわかった。そして、この日も音色について指摘された。跳躍する低音の響きが薄くなっていたのである。「息を入れるだけでは低音は豊かにならない」と、低音を出すときのイメージや身体の使い方を教えて頂き、練習方法を試してみると、数分で低音の響き方が変わり、曲中でも音が割れることが少なくなった。まるで魔法をかけられたように。その後、即興で弾いて下さった伴奏に合わせて最後まで演奏してCorrenteに入った。あまり時間がなく、この曲は駆け足で聴いて頂き、先生がより良いと推奨するアーティキュレーションを教えて下さって、レッスンは終了した。

8月5日 参加者によるコンサート、シューベルト記念館訪問

ホテルからバスで1時間程のSchloss Heiligenkreuz Gutenbrunnで参加者コンサートが行われた。日曜日のため、隣接する教会のミサに参列し、とても美しい参列者の賛美歌やオルガン、そして「教会の響き」に感銘を受けた。コンサートは白い壁の広いお部屋のような神聖な雰囲気の会場で行われ、年齢、国籍が違うたくさんの受講生の演奏を聴き、奏者が音楽を楽しもうとする姿、それを音楽で表現する姿に良い刺激を受けた。シューベルト記念館では、直筆の楽譜や絵画等を拝見することが出来た。絵画は肖像画の他に当時の演奏会の様子を描いたものが多く、それは演奏するシューベルトとその周りに笑顔の聴衆が描かれており、オーストリアでは昔からクラシック音楽が愛されていると感じた。

8月6日 J. S. バッハ/パルティータ BWV1013Sarabande, Bourrée Anglaise

この日は、20分程であったがとても大切で興味深いレッスンであった。Sarabandeでは、フレーズの途中(同じ和音が続くところ)で途切れてしまうところが多く、「この和音はここまで」と、先生と演奏しながら確認し直した。するといくつかの箇所で、自分が解釈していたものとは違う、とても大きな数小節にわたる和声進行が見えてきて、驚いて、まだまだ勉強不足だと実感した。そして、その大きな和声進行のBassを保留音として捉えると、非和音構成音が多くあるフレーズを演奏しても和声感が崩れなかった。一方Bourréeでは、「和音が次々と変化し、目まぐるしく展開するから、音色も素早く変えていくともっと良くなる」とアドヴァイスして下さった。2回のバッハのレッスンでは、まだまだ勉強が足りないと感じたが、先生と同じ解釈のところも多く、和音、和声進行や声部の役割の解釈等、今まで自分が重要だと思い大切にしてきたことが認めてもらえた気がして自信になった。これからもただフルートを吹くだけではなく、和声やソルフェージュ、アナリーゼをしっかり勉強していこうと思った。

レッスン終了後に、「木曜日、コンクールの後に夜の参加者コンサートでクーラウを吹いてくれない?」と言われ、コンサートも出演させて頂けることになった。

8月7日 F. シューベルト/「萎める花」による序奏と変奏曲

木曜日のコンクールで演奏するドビュッシーとモーツァルト、コンサートで演奏するF.クーラウの「序奏とロンド」を1度通した後、「萎める花」を見て頂いた。先生はこの曲が大好きなようで、大好きな曲をどのようにレッスンして下さるのか興味が湧き、見て頂くことにした。伴奏者が不在のため先生が伴奏をしながら、主に音色と表現の仕方についてのレッスンになった。この曲は解釈が難しいとされるが自分なりに勉強し、日本でも何度か見て頂いたことがあった。既に自分の中で解釈が固まりつつあったためか、レッスンで提案されるフレーズ、音色、強弱等の新たな解釈に慣れず戸惑ったが、レッスンから時間が経った今はそれらにまた別の良さを感じるのと同時に、音楽には明確な正解は存在せず、これが解釈の難しさではないかと感じている。また、技巧的なVar. IやVは、指を回すことに集中してしまいがちだが、「シューベルトの場合はここにも歌がある。これはエチュードではないよ」と指摘された。このレッスンで自分が演奏しやすい解釈や吹き方になっていることを痛感し、自分の中だけの狭い考え方ではなく、視野を広げ、柔軟な見方で音楽と向き合っていかなければならないと強く感じた。

8月8日 F. クーラウ/序奏とロンド

この日はコンクールで演奏するドビュッシーとモーツァルトを1度通し、2曲の雰囲気の違いをしっかり見せるようにアドヴァイス頂き、クーラウのレッスンに入った。一貫して注意を受けたことは「音の響き」についてである。特に高音域は響きが薄くなってしまいがちで、唇、口の中、喉、お腹等、力まずに身体全体を上手に使って息をコントロールしなければならない。練習方法もいくつか教えて頂いたが、身体全体を使って息をコントロールすることはとても難しくその場でうまく出来なかったので、日本に帰ってから自分の身体とよく向き合って「音の響き」について追及していこうと思う。

8月9日 選抜者によるコンクール、参加者によるコンサート

コンクール終了後に、Klambauer先生と
コンクール終了後に、Klambauer先生と

大学のオーケストラスタジオで午後からコンクールが始まり、20人が演奏を披露した。「良い音で演奏したい、レッスンの成果を出し切りたい」という思いが強すぎたのか、ドビュッシーの時は身体が力んで、あまり集中出来ていないことが自分でも分かった。1曲目後に伴奏者が入場したため少し時間があり、その時間、冷静に会場を見渡すとスタジオはほぼ満席で、たくさんのお客さん、応援に来てくれている仲間、審査して下さっている11人の先生方の顔が見え、夢のような2週間にしてくれたみんなに感謝の気持ちが溢れた。すると、モーツァルトの時はふっと力が抜け、とても楽しく演奏することが出来た。2曲通して納得のいく演奏とはいかなかったが、終演後、Schmid先生、ピアノのGiuseppe Mariotti先生、Sontraud Speidel先生が「Sehr gut! Lisaの演奏はとても良かった!」と、笑顔で声をかけて下さり、Klambauer先生には「たまにLisaの癖が出てしまった」と指摘されたが、「幻想的で印象的なドビュッシーとオペラみたいで軽やかなモーツァルト」と褒めて頂けて、本当に嬉しかった。

コンサートは流れ作業のように進んでいった。私は解放感からか、リラックスして気持ち良く吹くことが出来た。先生方、聴衆の方々から声をかけて頂けたことに幸せも感じた。そして受講生それぞれの様々な思いが強く感じられる、素晴らしい演奏を聴いて胸が高まったが、もうすぐ講習会が終わってしまうという寂しさが入り交じり、初めて感じる複雑な気持ちでコンサートを終えた。

8月10日 P. タファネル/ミニヨンの主題によるグランドファンタジー/F.ドップラー/アンダンテとロンド Op. 25

ミニヨンでは、1オクターブ以上音が跳躍する時に音色が変わってしまう、と指摘を受けた。5回目と6回目のレッスンで教えて頂いた高音域の音色についてのアドヴァイスの成果が少し表れ、高音域のみや高音が続く箇所では褒めて頂けたが、跳躍する箇所では唇の穴を絞ることがうまく出来ず、高音の音色が薄くなっていた。それについては、以前教えて頂いた練習方法で改善されるそうなので、意識しながら練習していこうと思う。
ミニヨンは早めに切り上げて、ドップラーの二重奏を一緒に演奏して下さった。音楽がとても心地よくあっと言う間に終わってしまったが、先生と一緒に演奏出来たことが何より幸せで、私にとって最高のご褒美であった。

生活について

学校やホテルはウィーンの中心地に近く、多くの観光地を訪れることが出来た。数多くの建築物の中でも、重厚感と美しさが漂うシェーンブルン宮殿やシュテファン寺院はいつ見ても素晴らしいと感じた。他に、ハイリゲンシュタットにあるベートーヴェンの家やホイリゲ、旧市街では、王宮やオペラ座、モーツァルトやベートーヴェンも訪れてサインを残したレストランにも足を運ぶことが出来た。その中で、ウィーンではクラシック音楽が愛されていると感じることが多くあった。シェーンブルン宮殿や王宮ではコンサートが催され、ホイリゲや多くのレストランでもクラシック音楽が演奏されていた。コンサートでは、演奏者の表現力や音楽を楽しむ姿からはたくさん学ぶことがあった。だが、それに加え、聴衆の音楽を楽しもうとする姿勢が印象に残っている。皆顔を上げ、笑顔で楽しそうに聴き、会場の雰囲気はとても温かい。王宮のコンサートで隣の席に座っていた老夫婦は「私たちは音楽の勉強はしたことがないけどクラシック音楽が大好きで、週2回コンサートに行く」と言っていた。また、「ウィーンの人々は音楽が大好きで、ここには音楽がたくさんある」とも。

また、旧市庁舎の広場で行われるフィルムフェステイバルでもそれを強く感じた。毎日夜9時頃から12時過ぎまで屋外に設置された大きなスクリーンでオペラやコンサートを上映し、夜遅くまで音が響き渡っている。しばしば騒音がトラブルになる日本ではなかなか難しいことだが、音楽が愛されるウィーンだからこそ出来るイベントではないかと感じた。

そして、先生が連れて行って下さったオペラの練習は私にとって新鮮な出来事で、良い思い出である。アン・デア・ウィーン劇場の楽屋口から出入りしたこと、ランドリーや衣装のお部屋を見せて頂いたこと、劇場の食堂で食事をしたこと、会場の真ん中でオペラを見たこと、全てが感動的であった。この日はハウプト・プローベであったが、音だけではなく、表情、身体、動き、言葉、美術装置等、舞台全てで表現される音楽に圧倒され、フルート1本でもこれくらい幅広く、深く表現しなければ人の心には響かないし記憶にも残らないと感じた。日本でもよく指摘されていた「綺麗だけじゃ伝わらない」を肌で感じることが出来た。

ウィーンではクラシック音楽が愛され、街が音楽で溢れ、人々はそんなウィーンを誇りに思っていた。街を歩きながら、ここで数多くの名曲が作られたと思うと何とも言えない嬉しい気持ちになり、そこにいるだけで幸せに感じた。この気持ちを忘れず、大好きな曲を大切にしていこうと思う。

研修を終えて研修を終えて

レッスン風景
レッスン風景

2週間のウィーンでの生活の中には、私の課題である「感情を音で表現すること」を克服するためのヒントがたくさんあったように思う。講習会中のコンサートでは「この曲をこう表現したい」、「自分の感情を伝えたい」と強く伝わってくる、積極的な素晴らしい演奏をたくさん聴くことが出来、自分の目標を再認識することが出来た。また、他の生徒のレッスンの時に先生が演奏して下さったC.シャミナーデのコンチェルティーノの間奏で涙が出そうになったことがあった。美しい音、豊かな響き、そして、人の心に強く訴えかけるものが私の心を動かしたように思う。レッスンでは、美しい音や豊かな響きになるようにいくつもの練習方法を教えて頂き、様々な変化をする音を聴かせて頂いたのも強く印象に残っている。これらのたくさんのヒントやアドヴァイスを全て消化して自分のものにし、「人の心に残る、記憶に残る演奏」が出来るフルーティストになろうと強く思った。

振り返ると、講習会中はほぼ毎日レッスン室へ行き、多くのコンサートや観光地へ足を運び、コンクールとコンサートの準備の追われながらも、楽しく、充実した音楽漬けの日々を送ることが出来た。それは講習会のスタッフの方々やKlambauer先生、教授陣の方々が親切に接して下さり、講習会中に困ることがほとんどなかったからだと思う。そして何より国内外問わず、同じ目標を持つ仲間・友人がたくさん出来たことが、楽しい毎日に繋がったと感じている。みんなと音楽や学校のことを話したり、演奏を聴き合ったり、伴奏をしてもらったり等の交流は貴重な思い出である。多くのものを見たこと、聴いたこと、そして感じたことがこの研修の最大の収穫であり、自分にとって最高の財産になった。

最後になりましたが、国内外研修奨学生としてこのような素晴らしい機会を与えて下さった大学関係者の皆様、温かくご指導下さる大友先生、困っている時に優しく手を差し伸べて下さる先生方、そしていつも私を支えてくれる家族・友人に心より感謝申し上げます。この海外研修で得たことを糧に、感謝の気持ちと私らしさを忘れることなく努力していこうと思います。本当にありがとうございました。

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