ウィーン夏期国際音楽ゼミナール
畝原 功気 4年 演奏学科 声楽専修
研修概要
研修機関:ウィーン夏期国際音楽ゼミナール
研修期間:2013年8月12日〜8月23日
担当講師:マンフレッド・エクヴィルツ先生
研修目的
今私が学んでいる音楽は、クラシック音楽の中の声楽で、オペラや歌曲を専攻している。ヨーロッパはオペラや歌曲の発祥の地であり、その中でもウィーンは多くの作曲家の出身地で数多くの作品を生み出している。そのクラシック音楽の本場であるウィーンで学ぶことは、大学に入学してから熱望していることであり、この地で本場の先生からドイツ語を通して教わることが出来れば将来に向けてもいろんな刺激があって良い勉強になると思い、この地を選んだ。
私はこれからもオペラや歌曲を深く追求したいと思っている。そのクラシック音楽の本場で音楽を学ぶことができれば、自分の歌に対する姿勢もより明確になり、ウィーンの街並や文化に触れることで、歌に対するイメージもふくらむと思うからだ。現地で生活をし、学ぶ機会があると、歌への理解力もより深くなり、これからの音楽人生の先がけになればなと思い、研修を心に決めた。日本で教わったことを生かしつつ新しい感性や音楽性を養い、スキル面でも発声などの違いを感じ吸収したい。
研修内容
場所はウィーン国立音楽大学であり、先生と個人レッスンで通訳付きで教えて頂き、1回60分のレッスンが4回あった。最初のレッスンは30分を2回に分けて行われた。
初めに持って行った曲はモーツァルト作曲、“魔笛”タミーノのアリアを歌った。タミーノのアリアは、日本でもレッスンに何度も持って行っている曲で、大学のコースの授業でも勉強していた曲だった。先生からは、「下顎を楽にして口の中を開けて」、「上顎から額に向けて響きを集める」、「お腹の筋肉を柔らかく動かす」ということを言われた。私にとって、最初は難しく戸惑いもあったが、レッスンが進むうちに先生の指導に導かれるように歌っていた。今まで指導の中で言われてこなかったことも言われ、すごく新鮮で、発声の基礎となることも教わることができた。レッスンの最後には、エクヴィルツ先生の門下から2人選ばれ、講習会のコンクールに出場することができた。
2回目のレッスンでは、“愛の妙薬”ネモリーノのアリアを見て頂いた。ネモリーノのアリアは、私が最も自信のあるオペラ・アリアであり、日本でも高校の頃から歌ってきた曲で、思い入れも強く、表現の面でもスムーズにできる曲だ。「オペラの舞台ではどんな格好でも歌わなければいけないんだよ」と言われ、レッスン室で椅子に座ったり、床に寝転がったり、踊ったりしながら歌いとてもエネルギッシュに教えて頂いた。自分でも伸び伸びと歌えたと思う。今までは体全身から自然に出てくる表現ができなかったため、そこがすごく勉強になった。
講習会最初の日曜日は、ウィーンからバスで1時間程の所にあるハイドンの生家に行った。内部見学の後、受講者のミニコンサートもあった。のどかな雰囲気の中食事もして、ウィーンの空気を感じることができた。空も快晴で、日本の空とは違う突き抜ける明るさがあり、音楽には最適な場所だと思った。
3回目のレッスンでは、プッチーニ作曲、“ラ・ボエーム”ロドルフォのアリアを見て頂いた。ブレスの時の身体の使い方やタイミング、高音を出す時や低音を出す時の息の流れや響きの持って行き方を教えて頂いた。今までより声に深みが出てきたと思う。
4回目のレッスンでは、コンクール当日なので発声を中心に短めのレッスンで講習会のレッスンは全て終了した。その後、コンクール会場の大ホールでのリハーサルも先生に指導して頂いた。ホールでの響きや最後のフレーズの歌い方を細かく教えて頂いた。その日の午後
1時よりコンクールが始まり、自分の演奏では異国の地ですごく緊張はしたものの、自分なりの演奏はできた。コンクール終了後に先生から「良い演奏だったね」と誉めて頂いた。他にも2人の先生に「おめでとう、もっと聴きたかったよ」と言って頂いた。
この2週間で私が得たものはとても大きかった。声を如何に響きに乗せて飛ばすか、身体を柔軟に使って歌うか、言葉を大事にし、滑らかに歌うか、声帯の使い方などいろんな事を教えて頂いた。ここで教えて頂いたことを日本に持ち帰り、すこしずつ自分のものにしていけたらと思っている。