ニューヨーク夏期音楽祭
渡辺 菜月 4年 音楽文化デザイン学科 音楽研究専修
研修概要
研修機関:ニューヨーク夏期音楽祭(New York Summer Music Festival)
研修期間:2014年7月20〜8月3日
担当講師:Tim Vaughn氏(Jazz Trombone)、Samuel S. Chen氏(Classical Trombone)
研修目的
- ジャズが盛んなニューヨークで活躍する先生方にジャズを直接教えてもらい、体感する
- 現地におけるジャズの教え方、またジャズという音楽の捉え方などを知る
- 英語を母国語とする人々の中で生活し、ネイティブの英語の使い方や発音等を学習する
研修内容
この夏期音楽祭では、主にクラシックとジャズの2つの講義プログラムがあり、そのうち私はジャズプログラムを選択した。研修先に着いた初日、placement auditionが実施され、それぞれに適応したクラスに割り振られるようになっていたが、運良く私はすべてのジャズプログラムを選択することができた。具体的な授業としては以下のものが用意されていた。尚、括弧内は授業内容の要約であり、各授業50分である。
- Jazz Labo(初級ビッグバンド *1 )
- Big Band Jazz(中級ビッグバンド)
- Select Jazz(上級ビッグバンド:先生方と共演)
- Rhythm and Jazz(ジャズにおけるリズムトレーニング及びドラム講習)
- Jazz Combo A〜C(少人数バンドによるアンサンブル)
- Jazz Improvisation(ジャズのアドリブ講習。初級、中級、上級のクラスがある)
Rhythm and Jazz とJazz Improvisationの授業は誰でも参加できるもので、クラシックを選択している人も受講できるものであった。ジャズのアドリブ講習では、私は上級クラスに参加し、初級、中級ビッグバンドの授業では1stのパートを数多く吹かせてもらった。先生方と共演するビッグバンドの授業では3rdパートであったが、先生方に囲まれて演奏したことで非常に刺激を受け、また同時にとても楽しかった。
この講習では週末とsession終了イベントとして各授業の発表演奏会があり、どの授業でもソロを吹かせてもらうことができ、そのたびに色々なコメントをもらえることが嬉しかった。
このセミナーの主な一日のスケジュールは以下のものであり、記されている授業内容は私の選択したものである。
Time | Class Name |
---|---|
7:00-9:00 | breakfast |
8:00-8:50 | rhythm and jazz |
9:00-9:55 | all-NYSMF choir |
9:55-10:05 | daily announcement |
10:15-11:05 | free time or pravate lesson |
11:15-12:10 | labo jazz |
11:30-13:30 | lunch |
13:10-14:00 | jazz combo C |
14:10-15:25 | big band jazz |
15:35-16:35 | select jazz |
16:45-18:15 | jazz improvisational ensemble |
17:00-19:00 | dinner |
19:30-21:00 | evening program |
自分の選択したプログラムの授業のほかに、期間中一度だけプライベートレッスンも受けることができ、私はジャズトロンボーンのレッスンを受け、レッスンも50分であった。プライベートレッスンでは先生とある一曲をduoで交互にアドリブをとり、「聴きあいつつアドリブでアンサンブルすること」を中心に学んだが、楽器の基礎的な部分についても教えていただいた。また、本来はカリキュラムにはないが、空き時間にクラシックのトロンボーンの先生の御好意によりにクラシカルなレッスン(主に基礎的な内容であったが)を少ししていただき、さらに週末や夕方に開かれる講師陣のコンサートのためのリハーサルにも同行させてもらい非常に勉強になった。
各プログラムでゲストを呼びマスタークラスが開講されていたが、私の参加した2 sessionではジャズドラマーのJohn Riely氏がゲストとして来てくださった。マスタークラスでは、Jazz Comboのクラスで組んだ少人数グループで、授業内でやった曲をそれぞれRiely氏の前で発表しアドバイスをもらうという進み方であり、私のグループも見ていただいた。
アドバイスとして私たちがもらったものは「一人ひとりがソロ中は責任を持ってその空間を使うこと。ただし、聴き合うこと。特にフロントの楽器(trb、t.sax、trpなど)はドラム、ベース、ピアノのリズム楽器をよく聞きソロをすること」ということであった。
これだけでも、ためになったが他のグループが受けているアドバイスを聴くことも、非常に良い勉強になった。
そして、その日の夕方には、jazzプログラムの先生とRiely氏によるスペシャルコンサートがあり、約1時間で5曲ほど演奏していただき贅沢な時間であった。また奇遇なことに、私が日本で高校2年生のころから教わっている中川英二郎先生が自身のCDでRiely氏と共演していたこともあり、拙い英語ではあったが直接会話することができ嬉しく思った。
個人で選択し受講するプログラムは以上であるが、全員参加のものとして「All-NYSMF Choir」という全員合唱があり、全部で3曲歌ったが、どれもジャンルの違う曲が選曲され同時に参加している生徒やスタッフの人々が積極的に合唱に参加しておりとてもすがす講師の先生方と共演したSelect Jazzの週末コンサートSelect Jazzの週末コンサートでソロを吹かせてもらった様子がしく楽しかった。普段、授業では一緒にならない人とも交流ができ、会話することや名前と顔を覚えるのが大変であったがこの場を踏んで少しずつ友達も増えていった。この合唱は、すべてのプログラムの終わる最終日にfinaleとして歌うので、実際この時間が訪れたときは、感動と終わってしまう寂しさを感じた。
毎日朝も早く夜遅くまでプログラムがあり、授業内容も自分にとって難しいものも多く大変ではあったが、それ以上にとても楽しく貴重な体験ができたと感じている。今回、このセミナーに参加できてよかったと心から思う。
*1 20人ほどで編成されるジャズのバンド形式。主に譜面とコンダクターに従ってアンサンブルをする。