ムジークアルプ夏期国際音楽アカデミー（フランス・ティーニュ）

河野 愛実 3年 演奏・創作学科 弦管打楽器専修（クラリネット）

研修概要

研修機関 : ムジークアルプ夏期国際音楽アカデミー
研修期間 : 2025年7月29日～8月15日
担当講師 : Manuel METZGER氏

研修目的

フランスは音楽教育において高い評価を受けている国の一つだ。パリ音楽院やリヨン音楽院など、世界的に有名な音楽学校があり、優れた教師、そして生徒が集まる。そのようなフランスでさらに自分の技術力、表現力を磨きたいと思い、プロの奏者や先生の推薦もありこの研修を選んだ。多くのプロの奏者がフランスへと留学している。実際にフランスを見て過ごした経験、得た音楽は一生自分の力、自信へと繋がると感じた。
将来はプロの演奏家として活躍していきたいと考えている。留学するか、日本でキャリアを積んでいくかを決めていないので、この機会を大切に定めていきたい。

研修内容

レッスン1日目

ティーニュに着いて2日目、8月1日10:00からホテルからバスで10分程移動した学校で初めてのレッスンが始まった。レッスンは1人1時間程で他の人の聴講も出来た。曲はBela KovacsよりHommage a M.de.Fallaを見て頂いた。この曲はヤングクリネッティストコンクールの1次予選の曲で最初は通して行った。ティーニュは標高が高く3分程の曲でも通すのに苦労した。メツガー先生はとても明るくおもしろい先生で豊かな音楽と表現力を持った先生だった。先生の指導の元、fやpだけの表現に留まらず音色の変化を楽しみながらレッスンを行った。リズムの正確さにかけているとご指摘頂き、翌日は楽譜を読み込むことに専念した。

レッスン2日目以降

2回目のレッスンでは前回と同じくHommage a M.de.Fallaを見て頂いた。１日練習する期間があったことで改めて譜読みのし直し、リズムの正確さを追求しそこを褒めて頂いた。リズムの正確性の次は、いかにスペインの雰囲気を出していくかを学んだ。
レッスン3回目は伴奏付きのレッスンを行った。曲はショーソンのAndante et Allegroを演奏した。この曲はヤングクラリネッティストコンクールの2次予選の曲で、今回が初めての伴奏合わせとなった。この曲は美しいAndanteとは対照的な怖さや恐ろしさを感じるAllegroが印象的な曲だと教えて頂いた。先生の歌う音楽と力強さに引っ張られて今までにない表現で演奏することが出来たと思う。今回のレッスンで最終日にあるstudentconcertでショーソンを演奏することが決まった。
レッスン4日目、5日目はシュポアのConcerto1番を見て頂いた。この曲は本選の曲で、全楽章通して演奏することになる。ティーニュの標高で練習するのは、息の使い方や体力においてとても成長できたと感じる。2楽章は美しい旋律で私のしたい表現を尊重しつつより美しくなるような表現を追求した。

おさらい会とstudentconcert

門下でのおさらい会はHommage a M.de.Fallaを演奏した。初日よりもティーニュの標高に慣れ、特段息切れすることもなく吹き切ることが出来た。今回の講習会で何度も求められた楽譜の正確性を意識して演奏することが出来た。緊張で少しテンポが上がってしまったが、緊張している時こそ正確なリズムを生み出すためにした練習が役に立つと感じ、改めてリズム練習の大切さ、楽譜を読み込む力の大切さを感じた。studentconcertではショーソンのAndante et Allegroを演奏した。出演が1番と緊張したが、先生方と共に学んだ仲間たちが見守って下さり、演奏後は大きな拍手と温かいコメントを貰った。改めて素晴らしい演奏の場を頂けたこと、この先生に習うことが出来てよかったと感じることが出来た。

研修を終えて

今回の研修でフランスへ留学したい気持ちが強くなった。11日間の研修はあっという間に終わり、毎日多くの音楽と自然に囲まれ有意義な時間を過ごすことが出来た。
今回ついた METZGER先生に今後も習いたい。この研修期間中、毎日多くの刺激を受けた。先生の溢れ出る豊かな音楽に刺激され、表現したい気持ちやもっと上手くなりたいという向上心が掻き立てられた。フランスで見た景色、色彩感、得た音楽を今後の演奏に活かしていきたい。

大和田智彦先生のコメント

フランス・ティーニュでの夏期国際音楽アカデミー研修、音楽と自然に囲まれた密度の濃いものであったと思います。
世界的な奏者を輩出するフランスの地で、素晴らしい先生に出会えたことは、大きな財産ですね。レッスンを通じて、単なるfやpといった強弱の表現に留まらず 、音色の多彩な変化や楽曲が持つ背景を追求できたということは素晴らしいことですね。リズムの正確性という基礎的なことに改めて向き合い、地道な練習の大切さを再認識できたことも、今後の大きな糧となると思います。
また、高地の環境は、呼吸法や体力面での技術的な課題だけでなく、リードの調整法を考えるきっかけとなったり、鳴らし方の研究の機会となったかと思います。
この研修が、将来の方向性を定める重要な転機となり、フランスで学びたい、という目標を見出せたことはとても喜ばしく思います。現地で感じた芸術や文化は、間違いなく今後の音楽に豊かな深みを与えてくれるでしょうし、この貴重な経験を糧に、更なる飛躍を期待し、応援しています。