セントラム ジャズ ポート・タウンゼンド(アメリカ・ワシントン)
後藤 龍太郎 3年 演奏・創作学科 ジャズ専修(ドラムス)
研修概要
研修機関 : セントラム ジャズ ポート・タウンゼンド
研修期間 : 2025年7月18日~7月31日
担当講師 : バスター・ウィリアムス氏
研修目的
本場アメリカでジャズに触れ、現地の学生や講師の方々と演奏をし、アンサンブルに必要なグルーヴや視野の広さ、音楽性の向上を目的としました。
研修内容
まず始めに、この研修では全体を通して教えられることよりも気付かされることの方が多い印象でした。オーデション録音を元に25クラスほどのコンボグループ(カルテットやクインテットなど、編成は様々)に分かれ、1週間そのグループでコンボのクラスを受講しました。私は事前に送信したオーディションに加えて、現地に到着して直後にライブオーディションを受けられる権利をもらうことができました。そしてオーディションの結果、バスター・ウィリアムスという偉大なベーシストのクラスに入ることができ、周りのレベルも高く、着いていくことで必死でした。コンボのクラスは9:00〜10:30まで、15:00から16:00までの1日に2回ありました。この1週間は最終日の発表に向けて、様々なジャズスタンダードを演奏したり、メンバーのオリジナルにも取り組みました。曲中でどのように音楽を作っていくか、緊張感を維持するためにはどうするべきか、などの様々なトピックについて学べました。メンバーのオリジナル曲では、普段演奏しないスタイルの曲や変拍子の曲などがあり、かなりの刺激を受けました。
コンボクラスのあとは昼食の時間まで将来のことについてや、伝説的なミュージシャンへのインタビューなど様々な授業が開講されました。どのようにしたらアメリカに実際に住み、演奏活動をすることができるか質問することができたり、他の受講者の悩みや講師のアドバイスを聞くことができました。また、ドラムのクインシー・デイビスによる「Arranging on the Fly」という授業では、人生で永遠に付き合っていくこととなるジャズスタンダードをどのようにして常に新鮮で楽しく演奏するか、具体的なアレンジ方法について学びました。
昼食の後は各楽器のマスタークラスが13:15〜14:45まで開講されました。マスタークラスでは具体的なテクニックよりも、ベーシストとのタイムの共有やスイングフィールについての話し合いのような時間が多く、英語についていくことが大変でしたが有意義な時間になりました。個別で質問にも対応してくれたため、余すことなく学べました。
午後のコンボクラスの後は講師陣による演奏会が18:00の夕食の時間まで開催されました。講師らの様々な組み合わせで違ったトピックでの演奏を聴くことができ、毎晩楽しく見て聴いて学ぶことができました。特に印象的だったのはトランペット、オルガン、ギター、ドラムという日本ではなかなか聴くことのできない編成でのバラード曲の作り方でした。繊細でありながらダイナミックであり、初めて演奏を聴いて涙がこぼれました。
夕飯の後はジャムセッションをしてたくさん友達を作ったり、先生方の演奏を聴きに行ったりと、23:00まで休みなく生の音楽に触れることができました。
研修を終えて
良いことばかりではなくビッグバンドの授業では一緒に受講していたご高齢のアメリカ人から軽度な差別を受け、4曲ある中でスローテンポの1曲だけが回ってきました。結果、始めにご高齢の方がその曲をやることになりましたが、実力を鑑みて先生が私に交代するように指示をしました。努力すれば差別に勝てる場面もあるのだなと実感し、練習のモチベーションにもつながっています。
池田篤先生のコメント
まず日頃の努力の成果として、偉大なバスター・ウィリアムスのクラスを受講出来たということを大変嬉しく思います。特にジャズは伝承の音楽ですから、どのような方と出会い影響を受けていくかによって、その人の音楽が形成されていきます。
アメリカ人の同世代の若者達との交流を通して、自分に足りないもの、または完全に欠けていること、または自分だからこそ出来ること、などを感じることが出来たと思います。
日本にだけいると差別を感じる機会はほとんど無いと思います。アメリカに根強く残るその問題を感じることが出来たことも大きな収穫でしたね。
今回の経験を大切にあと1年間、益々頑張っていってください。
