国立音楽大学

平尾雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者)

ガンバ三昧の大学時代/1987年11月

プロフィール

平尾雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者)

平尾雅子さん(ひらお まさこ)
HIRAOMasako
ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者

京都に生まれる。国立音楽大学楽理学科(現・音楽学学科)卒業。
ヴィオラ・ダ・ガンバを大橋敏成、音楽学を高野紀子の各氏に師事。
スイスのパーゼル・スコラ・カントルムにてヴィオラ・ダ・ガンバをジョルディ・サヴァル、室内楽をジャネット・ファン・ヴィンゲルデンの各氏に師事。 ソリスト・ディプロマを得て同校を卒業後、オランダのハーグ王立音楽院にてヴィーラント・クイケンに師事した。
ソロ、室内楽でヨーロッパ各地において活発な演奏活動を行うとともにサヴァル率いる合奏団「エスペリオンXX」のメンバーとしても活躍。
帰国後も日本を代表するヴィオラ・ダ・ガンバ奏者の一人として内外の名手と共演、全国各地にて多数のコンサートやレコーディング等に出演。
また最近はイタリア、フランス、オランダなど外国への演奏旅行も精力的に行っている。
ALM(コジマ録音)よりソロCD「マラン・マレの横顔I、II、III」(1995、1999、2002年レコード芸術特選)、「J.S.バッハヴィオラ・ダ・ガンバソナタ全3曲他」をリリース。
現在、京都市立芸術大学非常勤講師。

インタビュー

ヴィオラ・ダ・ガンバというと、歴史的な楽器として、もう博物館入りしていると思っている人も多いのではないでしょうか。確かに、オーケストラでは使われませんし、室内楽でもなかなか見る機会がありません。ヴィオラ・ダ・ガンバは一見、チェロのようですが、ヴァイオリン系の楽器ではなく、構造的にはギターの先祖にかなり近いものだそうです。楽器を支えるエンドピンがなく、ふくらはぎの上に乗せて演奏するのが正式なスタイルだとか。
このヴィオラ・ダ・ガンバ演奏家である平尾さんにその出会いと魅力をうかがうと……

「大学時代のコレギウムという授業で、リコーダーかガンバを選択することになったのですが、そこでガンバを選んだのが始まりでした。大学1年の夏合宿で、ヴィオラ・ダ・ガンバだけのコンソート(合奏)を初めて弾いたとき、『なんてきれいなんだろう』と感激したんです。音色もチェロより繊細だし、ずっと柔らかい。人間の声に最も近い楽器だと思いました。」
小学1年生のとき、両親の勧めでピアノを始めたのがきっかけで音楽にかかわることになったという平尾さん。歴史が好きだったということもあって、いつのころからか音楽史を勉強したいと思うようになったのだそうです。
「私にとって、ガンバはピアノ以外の初めての楽器だったんですが、その魅力に病的なまでの虜になって、いつも大学が閉まるまで練習していました。それはもう“狂ったように”……(笑)。」

留学中から演奏活動を

大学卒業後、本場でさらに勉強しようとヨ-ロッパへ留学。スイスの古楽器専門であるバーゼル・スコラ・カントールムで4年、そして、オランダのハーグ王立音楽院で1年、合わせて5年間にわたりルネッサンスやバロックの音楽を中心に学んだということです。
「古楽器の本場に行って気づいたことは、楽器がよく鳴るということ。日本と違って湿気が少なく、部屋自体が響くことが原因でしょう。古楽器は音量が小さいので、演奏する場所は特に重要で、部屋も楽器の一部なんです。当時の作曲家はこうした空間まで考慮して作曲していたんじゃないでしょうか。
場所によっては、音色が微妙どころかものすごく変わりますから。」

こうした事情というのは、やはり本場へ行かないとわからないようです。さらに、当時の絵画や彫刻、建築物などを間近に見ることが、音楽に厚みを増すという効果をもたらしたと思われます。
平尾さんは留学中、ガンバの奏法を学ぶだけでなく、ジョルディ・サヴァル教授率いる合奏団「エスペリオンXX」のメンバーとして、スイス、オランダ、ドイツ、フランスなどヨーロッパ各地で活発な演奏活動を行うとともに、多数のレコーディングにも参加しているのです。
帰国後も、わが国初のヴィオラ・ダ・ガンバのソロレコード『ヴェルサイユのヴィオール音楽』を世に送り出し、演奏会活動にも精力的に取り組むという日々が続いています。

息の長い演奏活動を

最近では、フラウト・トラヴェルソ(フルートの前身)、バロック・ヴァイオリン、チェンバロ、リコーダーなどヴィオラ・ダ・ガンバと同時代に活躍した楽器とともに古楽器の演奏会を各地で開いています。しかし、現実には古楽器に適した演奏会場が日本にはあまりないという問題もあるようです。
「古楽器はまだあまり知られていないんですね。興味をもっている人も聴衆も少ない。もっといろんな人に聴いてもらい、300年昔の音楽の素晴らしさをともに分かち合いたい……。」

主婦として育児を含めた多忙な家事をこなしつつ、演奏活動を続ける平尾さん。子育てをしながら、できるだけ長く演奏活動を続けたいといいます。そんな平尾さんから国立音楽大学をめざす人へ次のようなメッセージをいただきました。
「私はバロック音楽と出会って、ああ、音楽ってこんなに楽しいものなんだなと認識を一変させられました。人に言われてするんじゃなくて、自分から進んで取り組む音楽って、すばらしい。本当の音楽の良さ、喜び――それをぜひ、味わってほしいです。」

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