国立音楽大学

カールスルーエ音楽大学(ドイツ)

大学院修士課程音楽研究科 声楽専攻(ドイツ歌曲)2年 梅谷 真理子

研究概要

梅谷 真理子 写真 1
アメリカ歌曲マスタークラス最後の演奏会の後に先生、受講生と

リヒャルト・シュトラウスによる《クレメンス・ブレンターノの詩による6つの歌曲 Op.68》は1918年に出版された作品集で、12年間もの間歌曲作品の作曲を休止していたシュトラウスが歌曲の作曲を再開した際の作品の一つである。この作品はエリーザベト・シューマンという一人のソプラノ歌手に捧げられたものなのだが、6曲はそれぞれかなり違う曲調であり、違う声種が求められる。一人の歌手に捧げるための作品であったのにも関わらず、このように様々な曲が作曲されている理由を、シュトラウスの生涯、作曲の傾向、詩の選び方、歌曲作曲への姿勢、12年間の歌曲作曲休止期間に至るまでの過程、また作曲を再開することになったきっかけなど、様々な観点から考え、推察する。また作品集への理解を歌詞の分析、草稿との比較から深め、この作品集を演奏するにあたって重要なこと、より良い演奏をしていくための新しい発見ができるよう熟考する。

留学を終えての所感

梅谷 真理子 写真 2
研究のために訪れたドイツ南部のガルミッシュ・パルテンキルヒェンにあるリヒャルト・シュトラウス研究所

まず留学をして良かったことは第一に、公開レッスンで何度か教えていただき、演奏を聞いて前々から憧れていた白井光子先生の門下生として、個人レッスンやリートクラスを受講できたことだ。白井先生からは厳しくも愛を持っていつも真剣に、丁寧にレッスンをしていただき、緊張することもしばしばであったが、自分自身も気を引き締めて常にレッスンに臨み、前向きに向上心を持って勉強することができた。第二に、ドイツ語の語学力の上達だ。私は留学することが決まってからドイツ語を勉強し始めたので、現地に到着した当初はA2程度(ドイツ語で自己紹介や挨拶ができ、簡単な会話は聞き取ることが出来る)のレベルのドイツ語しかできず、現地の乗り物や、買い物をする際の聞き取りは2,3割聞き取れるか聞き取れないかだったのだが、現地で毎日ドイツ語を耳にし、学校の友達と他愛のないやり取りをしたりすることによって、ドイツ語の特に会話力、リスニング力は思っていた以上に上達し、最終的には日常生活はほとんど不自由なく過ごすことが出来るようになった。

留学をして辛かったことは今思い返すとあまり大きな出来事はなかった。ただ、留学する前にあまりドイツ語もわからず、ドイツでの知り合いも情報もない中で住居を探すのはとても大変であった。次に知り合いで留学をする人がいれば情報集めやドイツ語の助けなど、力になれることがあれば尽力したいと思った。

留学をしてみて変わったことは、考え方がポジティブになったことだ。やはり海外の人々の物事の考え方は自分に対して基本的に肯定的で何事にも前向きに取り組もうとする姿勢が強い。日本でいういわゆる”謙遜”や”慎ましい”などの概念があまりないし、日本では美徳とされても海外ではただ遠慮がちな人として捉えられて終わってしまう。そのような状況を経て、自分も時と場合によるが、基本的に前向きに積極的な気持ちでいようと心がけるようになり、それが音楽を勉強する上でもいい方向に作用していると感じる。その一方で日本の良さ、自分が日々日本の色々なものに支えられて生きていたことにも気づくことができた。こうして海外で学ぶと視野が広がった、というのも大きな収穫である。

今回留学したことによって、海外でまだ勉強してみたいこと、世界には色々な思いや事情を抱えながらいろいろな立場で勉強している人がいるということを知った。これをもう少しまた留学して勉強を続けていきたいと今思っている。また、やりたいことへの意欲もそうだが、今回の留学をする前から思ってはいたのだが、実際に留学をして、音楽をやるということは、終わりがなく、一生勉強しても足りないくらいやることがたくさんあるということが分かったので、まず第一に自分の音楽とよく向き合って、少しでも前進できるように努力と集中力を絶やさずに学べたらと思っている。

梅谷 真理子 写真 2 梅谷 真理子 写真 3-2
ガルミッシュ・パルテンキルヒェンにて開催されていたリヒャルト・シュトラウスフェスティバルにて

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毎ゼメスター設けられているシャンソンのマスタークラスの発表会の様子

梅谷 真理子 写真 5
カールスルーエ音楽大学前にて一緒に留学していた中山千緩さんと

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