楽譜を読むチカラプロジェクト(部門)
本プロジェクトは2012年度から2014年度までの3年間に渡って開催されました。楽譜は音楽のさまざまな活動領域で使用されていますが、ここでは西洋の芸術音楽で使用される楽譜が対象となっています。
一般的には、楽譜には作曲家が表現したい音楽が記譜され、その記譜された楽譜から演奏者は音楽を再現し、聴衆をその音楽を鑑賞します。この一連のプロセスにおいて、楽譜は表現される音楽を表象する記号として機能し、プロセスのそれぞれの段階(作曲、演奏、聴取)の段階でさまざまに解釈され、そのつど解釈する人に課題を投げかけます。本プロジェクトでは、楽譜に関連するさまざまなレベルでの解釈の問題を、作曲家、演奏家、音楽学者などが参加して、議論を深めていきました。
2012年度の「楽譜を読むチカラ パート1」では、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンのクラヴィーア作品を対象として、西洋の古典的音楽の楽譜と演奏に問題について考察しました。
2013年度のパート2では、20世紀前半の作曲家の音楽を対象にして、西洋近代の記譜法を乗り越えようとした彼らの音楽を考察しましたた。パート2の14回の講義内容は、『楽譜でわかる20世紀音楽』(アルテスパブリッシング、2020年)として刊行されています。
2014年度のパート3では、20世紀後半から今日に至るまでの作曲家の音楽を対象にして、ポストモダンの世界の楽譜を考察しました。
以上の3年間の講義内容はすべて、国立音楽大学音楽研究所研究年報に掲載されていますので、本学図書館で閲覧することが可能です。