国立音楽大学

石田泰尚(ヴァイオリニスト)

エモーショナルな感動を届けたい/1996年11月

プロフィール

石田泰尚(ヴァイオリニスト)

石田泰尚さん(いしだ やすなお)
ISHIDA Yasunao
ヴァイオリニスト

1991年 国立音楽大学入学。諏訪晶子、大関博明、室内楽を徳永二男の各氏に師事。ウート・ウーギ氏の公開レッスンを受講。
1992年 国際芸術連盟新人オーディションに合格、同時に奨励賞受賞。
1993年 日墺文化協会フレッシュコンサートに出演。
1994年 東京芸術の森新人オーディションに合格。国際芸術連盟主催のソロリサイタルを開催。主要オーケストラのゲストコンサートマスター、主席奏者を務める。
1995年 国立音楽大学を首席で卒業、同時に矢田部賞受賞。徳永二男氏とバッハのドッペルコンチェルトを共演。読売新人演奏会に出演。
1996年 弱冠22歳で新星日本交響楽団のコンサートマスターに就任。新星日響とはこれまでにソリストとしてメンデルスゾーン、ブルック等を共演。
さらに11月には東京芸術劇場でサンサーンスのコンチェルトを共演。
また、YAMAMOTO弦楽四重奏団のメンバーとして、大曲新人音楽祭グランプリ、松尾財団奨励賞、大阪国際室内楽コンクールファイナリスト。

「才能」ではなく、「楽しさ」

石田泰尚さんは、気鋭の若手ヴァイオリニスト。1995年、国立音楽大学を卒業したばかりですが、新世代の演奏家として、その才能は注目の的です。
「僕に才能がある……たまに、人からそういわれることはありますし、いわれたらとてもうれしいのは確かなんですが、自分自身では、ヴァイオリンを弾く才能が備わっているとは思えないんですよね。僕はただ、自分の好きなように弾いている。それだけなんです。」
現在、コンサートマスターとしてオーケストラで演奏するかたわら、ソロや室内楽の分野でも活躍中。
「オーケストラで、僕は最年少。やはり、緊張しますよ。むしろ、ソロで弾いている時の方が気が楽かもしれない。舞台度胸はいいんです(笑)。」

旋律は会話

「よく、“演奏中は何を考えているのか”と聞かれるんですが、私は、演奏中に旋律が会話に聞こえるんです。」
それは、演奏する楽曲の持つさまざまな情景や歴史、文化の流れの中に、一つひとつの音が何かを語りかけてくるということなのでしょうか。
「すべてのものが音楽に影響すると思います。その音楽のバックグラウンドとして、常に歴史や文化に触れて、人々の生活を理解し自分自身の感性を育てることが大切です。朝から晩まで練習するだけではすばらしい音楽は生まれないような気がします。さまざまな経験やたくさんの出会いの中にこそ、ヒントがある。」

自分の個性を発揮できた学生時代

3歳の時、両親にたまたま連れていってもらったヴァイオリン教室。それが石田さんとヴァイオリンという楽器との出会いでした。小学校4年で神奈川県のジュニアオーケストラに入って、ステージに。
「たぶんその時からですね、人前でヴァイオリンを弾く楽しさに目覚めたのは。」
といっても、音楽の道を本気でめざしたのは、高3の秋。だれもが進路で悩む受験生時代だったそうです。私立大学の系列高校に通っていた石田さんは、その私立大学への学内推薦も受け、すでにキャンパス見学もすませていました。
「ところが、その大学でやりたいことが見つからないんです。で、決心しました。やっぱり自分にはヴァイオリンしかない!と。」
入学して石田さんが立てた目標は、「大学生でいる間に有名になろう!」そのため、大学2年頃より学内外のオーディションに積極的に参加し、「より多くの人に自分の演奏を聞いてもらいたい。」という気持ちを数多くのステージにぶつけ、次第に大きな評価を得るようになります。
学生時代の石田さんが大いに刺激され、影響を受けた人物が2人います。一人は、室内楽の先生だった徳永二男氏。
そしてもう一人は、国立音大の先輩で、ピアニストの及川浩治さん。
「及川さんの演奏はまさに個性のかたまり。強烈、の一言でした。そして、先輩に対しておこがましいかもしれませんが、自分と似たタイプの演奏家の存在を強く感じたんです。」
子どもの頃、石田さんはヴァイオリン教室で他の子どもが演奏しているのを聞いて、「なぜ、あんなにつまらなそうに演奏しているんだろう。もっと、楽しく弾けばいいのに……。」と思ったそうです。その当時から、すでに「人とは違う自分の個性」を意識し始めていたのです。
「 だって、ただ音符を並べただけっていう演奏では、弾く方も、聞いているほうも退屈でしょう。」
「国立音楽大学ののびのびしたスクールカラーは、そんな自分の個性を伸ばすためには最適な環境だった。」と語る石田さん。聴き手の心に直接語りかけてくるような彼の演奏は、この環境の中でより輝きを増していきました。

楽しんでもらうことが一番大切

「とにかく僕は人前で何かをやるのが好きな子どもでした。ヴァイオリンだけではなくてね。もちろん、今だってそう。目立ちたがりやなんですよ。(笑)だから、僕にとって、自分の演奏を聞いてくれる人が一番大切。一人で練習している時も、どうすればお客さんに楽しんでもらえるか、をいつも考えています。」
ところで石田さんには、ただ一人だけ、個人的にこだわっている“ミュージシャン”がいます。それもちょっと意外な人物……長渕剛。中学生の頃からファンで、大学時代にはコンサートにも足を運んでいました。
「彼の音楽に向かう、そしてファンを相手にする時の姿勢……おそらく僕の演奏はなんらかのカタチで彼の影響を受けているかもしれません。」
インタビューが終わって写真撮影。愛用のヴァイオリンを持った途端、石田さんはまるで楽器と一体になったように、本当に“楽しそうに”旋律を奏ではじめました。

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