国立音楽大学

安藤禎央(キーボーディスト/コンポーザー)

プロの演奏家へのきっかけも
作曲家への強い意識も
くにたちが出発点でした

/2014年4月

プロフィール

安藤禎央さん

安藤 禎央さん(あんどう よしひろ)
ANDO Yoshihiro
キーボーディスト/コンポーザー

信愛学園高等学校(現:浜松学芸高等学校)を経て、国立音楽大学音楽学部応用演奏学科に入学、在学中の1996年に日本箏曲会連盟主催 第6回「箏・創作フェア」電子音楽部門・作曲第2位受賞。「インターナショナルエレクトーンコンクール’96」で第1位を受賞。1997年の大学卒業後より(財)ヤマハ音楽振興会所属プレイヤーとして活動を開始し、全国各地でのライブ活動を中心に、韓国・台湾・香港・シンガポール・マレーシア・タイなど海外でもライブを行っている。
繊細なアレンジと力強いメロディー、パワフルかつセンシティブなライブ、爽やかなキャラクターから若い女性を中心に人気が高く、枠にとらわれない独自の表現力は好評を博している。
2001年に全曲書き下ろしの1stアルバム『mindscape』をリリース、以来4枚のフルアルバムとremixアルバムを発表。2010年3月、葉加瀬太郎が音楽監督を務めるHATSレーベルより待望の5thアルバム『SORA』をリリースし、堂々のメジャーデビューを果たした。
2002年には母校・浜松学芸高等学校の創立100周年にあたり「学校の歴史、その重みと栄光をたたえ、未来への飛翔、希望を託した」オリジナル曲『GLORIA』を作曲し、記念式典・記念演奏会で披露。
活動の域はプレイヤーにとどまらず、NHK『てれび絵本』をはじめ、テレビ・ラジオ・式典・ゲーム音楽等の音楽制作にも携わり、2012年3月にはTV朝日制作のドラマスペシャル『濃姫』の音楽を担当。ヤマハ音楽教室トッププレイヤー講座(エレクトーン特別レッスン)講師を務めるかたわら、2010年4月より本学非常勤講師も務め、次代のプレイヤー育成にも力を注いでいる。

インタビュー

安藤禎央さん

国立音楽大学在学中から輝きを発し、最終学年での国際コンクール優勝で
才能を一気に開花させた期待のアーティスト・安藤禎央さん。
電子オルガン演奏と作曲の第一線で活動するかたわら、
本学の講師も務めるなど、マルチに活躍している。
そんな安藤さんに原点から学生時代、そして今後について語っていただいた。

人の感情を表現する音楽の
中心にある“希望”を
伝えられる音楽家でありたい。

足でも弾く楽しさに魅せられて電子オルガンにのめり込んだ少年時代

──電子オルガンとの出会いを自身では「遅かった」とおっしゃっていますが……

 ピアノ教室に通っていた姉について行って、自分も習いたいなと思ったのがきっかけでした。偶然、知人からもらった電子オルガンが自宅にあって、手だけでなく足でも弾くことに面白みを感じ小学校入学を待って習い始めました。当時の先生は弾きたい曲を弾きたいように弾かせてくださる方で、それが音楽や演奏の喜びを知ることにつながったように思います。
 音楽の道をめざすことはわりと早くから決めていたので、それを考えての高校選択でした。というのも、“楽しんで弾く”ことから始めたのですが、理論などの勉強が足りていないと感じていたんです。高校ではその足りなかったものをしっかりと補えました。

──そして、くにたちへ、となるわけですね

 入学した応用演奏学科※は、僕らが3期生になります。卒業生はまだいない状況でしたが、不安はまったくありませんでした。むしろ、期待や楽しみのほうが大きかったですね。
 同じ楽器について学んでいる仲間、同期に先輩、後輩と巡り会い、学年を越えて切磋琢磨し合った4年間を過ごしました。コンクールに出場したり学園祭で演奏したりと、あっという間に過ぎていった感じです。他の学科の学生とも積極的に交流を図り、いろいろな刺激をもらっていました。また、当時は年度ごとに担当する教員が変わっていたので、授業はもちろん、それ以外でも多くの先生方と交流がありました。
 また、学科では和声について多くのことを学ぶことができました。それは現在の作曲という仕事に大いに活かせています。
※現在の演奏・創作学科 鍵盤楽器専修(電子オルガン)

──恩師との出会いもあったそうですね

 現在もくにたちで教壇に立たれている平部やよい先生ですね。先生には演奏も作曲も見ていただきました。とくに作曲では「このモチーフがいいから他の部分をこうしたらこういう曲になる」というようなアドバイスをたくさんいただきました。「これがダメ」というのではなく、自分では気がつかない多くの選択肢を提示してくださる指導で、作曲する際の道筋のつけ方を教わりました。先生と出会えたおかげで今の自分があると思っています。

くにたちでの4年間で培われた「演奏家」「作曲家」2つの顔の原点

セッショングループ「any」ライブvol.6での演奏(2014.1.26)
セッショングループ「any」ライブvol.6での演奏(2014.1.26)

──国際コンクールに出場し、見事優勝されたのも在学中のことでした

 実はその2年前にも同じコンクールにエントリーしていたのですが、そのときはジャパンファイナルで3位という結果で、国際大会には出場できませんでした。1位をいただいたのは1996年のインターナショナルエレクトーンコンクールで、大学4年のときでした。本気でプロになろう、というきっかけにもなった大会でしたね。コンクールでは自作曲を演奏し賞をいただいたので、すごく自信になったんです。演奏家と作曲家の二足のわらじという現在の活動の原点といってもいいかもしれません。
 作曲は高校生のころから少しずつ始めていました。演奏しているうちに曲を作ってみたくなるんですよ。でも、そう簡単にはできませんでした(笑)。それでも続けていくことで、徐々に自分の理想に近づき、形づくられていくのが楽しいと感じていました。
 また、大学には演奏技術に長けている人たちが多くいて、それならば自分は作曲のほうでという意識も強くなっていました。今でも、当時の仲間と年に数回ステージに立つことがありますが、“やっぱり上手いな”と感じます(笑)。学生のころは自分と比べられるのがイヤでしたし怖かったのですが、今は“自分は自分”と思えるようになり、むしろ刺激をもらっている感じです。

──演奏家として、作曲家として

 作曲はとても孤独な作業で、期限を気にしながらいろいろなことを考えて進めています。コレだっ!というメロディがスッと浮かんでくることもありますが、なかなか出てきてくれないこともあります。そんな作曲の楽しさは、他人に演奏してもらうことにあるんです。自分が考えていなかったような表現で、作品としての完成度がより高まるうれしさがあります。
 一方、演奏は聴いてくださる方が目の前にいて、反応や感想を直接感じられるのがいいところです。ただ、体調管理や演奏力の向上も常に課されています。演奏前日に牡蠣にあたってしまったこともありましたが、どんなに体調が悪くともそれを見せてはいけないのがツラいところです。
 作曲も演奏もどちらもやっていくのが自分にとってのベストだと思っていますし、どちらも大切にしたい気持ちはずっと持ち続けています。今は半々から6対4くらいで演奏に軸がある感じかもしれません。

──安藤さんにとって電子オルガンはどんな存在ですか?

 自分の手のような感覚があります。自分の感覚や感じたことをいろいろな音で表現できるというのでしょうか。内なる思いを具現化できるものかもしれません。音楽はさまざまな人間の感情を表現するもの、そしてその真ん中に希望があるものということをずっと変わらずに信念として持ち続けています。それを伝えられる演奏や曲づくりが今後もできればいいなと思っています。

道の先を歩む先輩として その道へ導く先生として

──今後の活動について教えてください

 現在アルバムを制作していて、夏頃までにはリリースできるのではないかというところです。それと並行して、演奏のほうでは単独ライブだけでなく、さまざまなアーティストとのユニットでの活動にも力を入れていこうと考えています。
 作曲ではもっと仕事の幅を広げていきたいですね。例えば映画やドラマの音楽などもゆくゆくは手がけられたらと。自分のライブで弾く曲を作るのも、映画やドラマの曲を作るのも、何もないところから始め、通過するプロセスは同じです。唯一違うのは、きっかけ・出発点が自分からなのか、他者からなのかという点だけです。

──“教える”という立場でもありますよね?

 かつては教わる側でしたが、今はその逆の立場にいるようになって、こんなときにこう言われたなとか、学生当時のことを思い出すようにしています。コンクール出場にあたっては、先生に親身に指導していただきました。放課後にレッスンをお願いして、学校が閉まる時間までいたなんてこともありました。自分もそんな先生をめざしたいですね。

──最後に、これからくにたちをめざすひとたちにアドバイスをおねがいします

 学生のうちにさまざまな経験をしてほしいと思います。実際、僕も大学を卒業した後に“もっとやっておけば”と思うことがたくさんありました。今でも、現在のカリキュラムで学べるならもう一度入学したいくらいです。これからそれを学べる人が、本当にうらやましい。
 入学したら“これは専門外だから”とスルーせずに、専門外のことも含めて学んでほしいですね。すべてが後の自分の役に立ちます。くにたちのいいところは、さまざまなジャンルの先生方から学べることで、さらにその労を惜しむ先生はだれ一人としていないことです。「ムリ」という前にぜひともチャレンジしてほしいと思います。

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