国立音楽大学

けいちゃん さん

だれよりも自分が自分のファンでいることを大事にしています

ストリートピアノの演奏動画で人気が出たことをきっかけに、コンサート、アルバム制作、さらにテレビや映画の世界にも活躍の場を広げつつあるフリースタイルピアニスト、けいちゃん。くにおんでの学生時代と、これからについて語っていただきました。

プロフィール

けいちゃん さん
KEICHAN

Profile:1996年生まれ。音楽文化教育学科音楽教育専修卒業。2019年より始めたYouTubeのチャンネル登録者数は100万人超、総再生回数は4億回を超える。2020年に初のワンマンライブ、2021年にアルバム『殻落箱』リリース。2025年、映画『Requiem〜ある作曲家の物語〜』に出演・劇伴演奏で参加。TBS系朝の情報番組『THE TIME,』にレギュラー出演など、ピアノを軸とした音楽総合表現者として活躍中。

ピアニストになりたい気持ちが大学で再燃

──音楽との出会い、またくにおんに進学したきっかけは?

ピアノは3歳から始めて、小学校3年生でピアニストになりたい思いが芽生えていたんです。そこからはピアニストを目指して、毎日何時間も練習していました。しかし高校生になると、ピアニストで食べていくのは難しいだろうなと、現実的な考えを持つようになりました。それでも、今までの努力を無駄にはしたくないし……と考えた時に、学校の音楽の先生だったらピアノも生かせるかなと思い、国立音楽大学の音楽教育専修に入ったんです。幅広いジャンルの音楽を学べることも、自分に合っている気がしました。

 

──再びピアニストを目指すことになったのはなぜでしょう?

入学してみると、他専攻・専修の人たちとも、一緒に演奏することが多くて。プロを目指している人たちに感化されて、やっぱり演奏家になりたいという気持ちが出てきたんです。
もう一つのきっかけは、くにおん出身のH ZETT M さんの音楽に出会ったことですね。たまたまYouTubeで見つけたんですが、とにかくかっこよくて衝撃が走りました。そんなわけで、大学2年で演奏の道に進むもうと決めて、教職を取るのはやめてしまいました。音楽教育専修なのに教職を取らないという、異端児になってしまったんです(笑)。

多様な専攻・専修の人々との交流は大きな刺激に

──学生時代で印象に残っているイベントなどはありますか?

音学教育専修が主催する「Listen to ME!」は、ピアニストになりたい気持ちをより加速させたイベントですね。同じ専修の学生たちとバンドを組んで、僕がピアノで、ドラムとベースの学生と演奏したんです。オリジナル曲を披露して、観客に拍手を浴びるという、その体験がもう本当に心地よくて。演奏家になりたいという思いがより強くなりました。

 

 ──くにおんで学んだことは、現在の活動に役立っていますか?

自分の領域以外の人たちから学べることは非常に多かったですね。彼らから享受した知識や技術、刺激は、自分のためになっていると思います。
あとは何より、国立音楽大学は講師陣に恵まれています。本当にいい先生がたくさん集まっていて、その点はくにおんで学んでよかったなと感じますね。たとえば、井上恵理先生はパワフルで、見ているだけで元気が出ますし、先生の授業で学んだリトミックや音を使った体の表現は今もすごく役立っています。演奏って、弾き方がかっこいいとちょっとうまく聞こえる気がするので、パフォーマンス、見せ方という意味で、僕はそういう体の使い方を大事にしています。

ストリートピアノ演奏動画で注目を浴びる

──ストリートピアノに着目したきっかけや、注目されるようになった経緯について教えてください。

ストリートピアノは高校時代に海外で知ったのですが、大学を卒業してから、日本にもやってきたことを知りました。そこで、僕もそのストリートピアノを弾きに行ってみたら、お客さんが大勢集まってきて、それこそ、Listen to ME!の時の高揚感をほうふつとさせるような体験ができたんです。これは気持ちがいいなと思ったので、撮影してYouTubeにアップしたら、1本目から再生数がものすごく伸びて。以前からサムネイルの作り方やタイトルの付け方など、どうしたら再生数が上がるかを研究していたのが、うまくいったんですね。それをきっかけに、その後もYouTubeの登録者数は異様なスピードで増えていきました。おかげで、卒業して間もなく、いろいろな仕事のお声がけをいただけるようになりましたね。

 

──YouTubeで演奏することと、依頼されて演奏することの違いは?

もちろん、プロとしての責任感はありますが、その責任を負いすぎて、ピアノを弾く行為自体に嫌気がさすのは嫌ですよね。ですから割とラフに考えるようにしています。自分に自信を持って、自分にしかできない音楽があることを常に心に置いて。僕を応援してくださっている人たちは常に味方でいてくれる、そういう考えでいることで、苦にならずにやってこられたのかもしれません。そして、だれよりも自分が自分のファンでいることを大事にしていますね。

演奏家はSNSの運用スキルを磨くべき

──けいちゃんは音大を出た演奏家として、新しいあり方を提示しているように感じられますが、これからの演奏家が持つべき視点やスキルについてどう考えていますか。

SNSマーケティングについて学ぶべきではないでしょうか。いくら演奏がうまくても、聴衆の耳に届かないと意味がない。まず扉を開いてもらう方法を考えることは、演奏家はみなやった方がいいですね。僕も、本を読んだり動画を見たりして今でも日々勉強しています。自分で何百回、何千回と試行錯誤してやっていくのが大事です。

──音大への進学を迷っている人に伝えたいことは?

僕は、自分をどういう環境に置くかが成長の度合いを大きく左右すると思っています。そういった意味では、くにおんにはプロを目指している方が多くいて、切磋琢磨できるし、刺激を受けられるという面で、非常に貴重な環境でした。そこに身を置けるというのは一番のメリットになりますね。授業も、演奏家になるためにとても役立つものばかりなので、将来への近道になると思います。

──いま興味を持っていることはなんですか?

最近映画に出たんですが、映画の現場を目の当たりにした時に、自分でも映画を作ってみたくなりました。映画の音楽も作りたいですし。あくまで単純な興味であって、そういう機会があればということですが。
すごくいろいろなことに興味があって、やりたいことがありすぎて一言では言い表せないほどです。そういう、いろいろな分野に好奇心を持てるというのも、大学から学んだことの一つかもしれませんね。

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