国立音楽大学

オンライン体験授業「ケチャをみんなで体験しよう」実施レポート

ケチャ

 音楽情報専修の授業で紹介している曲の一つに《ワン・ワールド・ワン・ヴォイス》というノンストップで一曲50分以上に及ぶものすごい曲があります。世界中のさまざまな地域、さまざまなジャンルの音楽が、繋がり、重なり、モンタージュされて一つの作品となっているのです。これが作られたのは1990年。当時の制作スタッフは、ブラジル、タイ、南アフリカ、アイルランド、パキスタン、ソ連、日本をはじめとする国々をおとずれ、予め用意されたテンポガイドに合わせた演奏を現地で録音し、最終的にはスタジオでの編集作業によって作品化がなされました。

 それから30年を経た今日、離れた場所にいる人たちは同じ場所にいなくても、また制作スタッフの手を借りなくても、自宅に、あるいは自分の好きな場所にいて、合唱や合奏、ジャズのセッション、バンドのリモート・ライブが行えるようになりました。そしてそのような動画が数多くネット配信されています。でも、そのような動画は一朝一夕には作れません。たとえ離れた所にいてもそこには入念な打ち合わせと準備が必要となります。また、しばしば生じるタイムラグなどの技術的トラブルを克服しなければなりません。

 音楽情報専修は、時には演奏も行い、時には研究も行うといったような、個人個人の必要に応じてオールマイティーな立ち位置を獲得することのできる専修です。さまざまな地域に向けて、さまざまな時代に向けて、鋭いアンテナを張り、情報を受信する。そしてさまざまな世代、さまざまな志向の人々に向けて情報を発信する。そうした専修の特徴を生かし、なおかつ30分という時間で初対面同士の参加者が簡単な打ち合わせだけで音楽の実践を体験する、その機会として用意されたプログラムが「オンライン・ケチャ」でした。

 インドネシア、バリ島の民俗芸能であるケチャ。森の中で一斉に鳴く猿の声を模倣し、悪魔祓いの儀式として行われたのが起源といわれています。私は7号館の2階テラスに立ち、新1号館をバックにして、タンブールという4拍子を刻む役を務めました。参加者は4グループに分かれ、それぞれが4拍子に対してチャを5回、チャを6回、チャを7回、そしてチャを裏拍で6回の配分で元気よく刻んでいき、さらに各パートが役割を交代していくのです。

 オープンキャンパスのオンライン・ケチャ、アメリカから参加された高校生もおいでになりました。在校生や卒業生の方々も「友情出演」してくださいました。約15分の解説と打ち合わせ、そしてリハーサル、さらに本番。わずか30分の、でも最大限に開かれたヴァーチャル空間の中で、参加なさった方は音楽情報の受信と発信が存分に楽しめたのではないかと思っております。

野中 映

お問い合わせ窓口

国立音楽大学 広報センター
〒190-8520 東京都立川市柏町5-5-1
TEL:042-535-9500

PAGE TOP

お問い合わせ・資料請求
学校案内、入学要項などをご請求いただけます
資料請求
その他、お問い合わせはこちらから