国立音楽大学

2019年度卒業式を行いました

桜の花が咲き始め、麗かな陽気となった3月19日、2019年度卒業式を行いました。
今年度は新型コロナウイルス感染症対策のため、大幅に時間を短縮しての開催となりましたが、学生生活最後のひとときを友人と過ごす学生たちの笑顔が溢れ、温かい雰囲気に包まれました。

式典では、毎年恒例の学生による奏楽も見送りとなりましたが、学位授与、賞状授与に続き、武田学長が祝辞を述べました。
祝辞の中で、新型コロナウイルスに感染した方へのお見舞いの気持ちを表明したうえで、「一生に一度の卒業式を何としても実現し、祝福して送り出してあげたいという一心で」本日を迎えたことをお話ししました。

さらに、このような不安定な先行きであるからこそ、「音楽をすることの意味」を問い直し、IT化やAIの進化の中でも人間にとって音楽だけは不変なものであるとのメッセージを送りました。
最後に、これから新しい世界に旅立つ卒業生に向けて、音楽を通じて培われた集中力、持続力や協調性、表現力を携え、未来を創造していってほしいとエールを送りました。
また、武田学長の祝辞に続き、同調会(同窓会組織)の会長である山下洋輔招聘教授もお祝いの言葉を述べました。

式典に列席した卒業生は、「まずは卒業式を実施してもらえたことに感謝している」と話し、青空のもと久しぶりに再会した同級生との写真撮影を楽しんでいました。
4月から大学院へ進学する声楽専修の学生は、「大学生活でさまざまな経験をしたので、これからはより多くの人に思いを伝えられるような演奏をしたい」と今後の抱負を語りました。
音楽教育専修を卒業後、教員になる学生は「大学生活は一瞬。悔いのないようにたくさん勉強して経験を積んでほしい」と在学生への思いを語りました。

卒業される皆さま、くにたちで過ごした日々を胸に、次のステージへと羽ばたいてください。
教職員一同、これからも見守り続けます。
ご卒業おめでとうございます。

武田学長祝辞(全文)

大学院、学部の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。そして保護者ならびに関係者の皆さまにも心からお祝い申し上げます。

今、世界中に新型コロナウイルスが蔓延し、まさにパンデミックにさらされています。亡くなられた方々には、この場を借りて本当に心より哀悼の意を表します。また、感染され苦しまれている方々には、心からお見舞い申し上げます。できるだけ早く終息することを願うばかりです。

このような先行き不安定のなか、私どもといたしましては、学生の皆さんの一生に一度の卒業式を何としても実現し、祝福して送り出してあげたいという一心で今日を迎えました。

ここ数年このような世界規模の災害が度々起きています。そうした大変な状況下、保護者ならびに関係者の方々には、ご苦労がおありだったことでしょう。お察しいたします。卒業生の皆さんに代わり、感謝申し上げます。ありがとうございました。

卒業生・修了生の皆さんはこれまで温かく成長を見守ってくださり、様々な援助をしてくださった保護者、関係者の方々に感謝しなければなりません。

さて、このような情勢がたいへん不安定な時、特に災害に見舞われた時に、いつも考えさせられること、それは「音楽をすることの意味」です。どんなにIT化が進み、AIが人間に替わり進化していったとしても、人間にとって音楽だけは不変なものと考えます。

やはり音楽を通じて人と人との心のつながり、人々の心を「思いやる」ことが音楽をすることの意味のひとつかなと思います。

本学は「アンサンブルのくにたち」という評価をいただいています。音、リズム、ハーモニーを合わせることは当たり前のことですが、お互いの気持ちを込めた音楽に対しての思いやりを感じて一つの音楽を創るということが、本当のアンサンブルだと思っています。皆さんは、ここ「くにおん」で「自由、自主、自律」の建学の精神のもと、仲間たちと教職員の皆さんと音楽を通じたアンサンブルを学んできました。これから社会に旅立つわけですが、音楽家を目指す人、教育者となる人、大学院進学や留学といった形でさらに研鑽を積まれる人、社会に出て実践的な活動、仕事をされる人などいろいろな道に進まれることでしょう。しかし、ここくにたちで学んだ「音楽」はさまざまな形でずっと皆さんの心の中に生き続けます。

日常生活の中で、楽しい時、苦しい時、悲しい時、いつも心の中に音楽が鳴っていることでしょう。あなた方は、楽しい音楽、悲しい音楽を感じる「心」を持っています。

そして、それを表現する技術も身に付けています。音楽を通じて培われた想像力、集中力、持続力、表現力、また協調性は、社会に出てからも大きく力を発揮することでしょう。

たいへん厳しい状況のなかでの旅立ちとなりますが、これからの未来を創り出すのはあなた方です!自信を持って大いに羽ばたいてください。期待しています!

簡単ではございますが、私の祝辞のご挨拶とさせていただきます。本日はご卒業、誠におめでとうございます。

2020年3月19日
国立音楽大学 学長 武 田 忠 善

カリヨンと学生たち
カリヨンと学生たち
祝辞を述べる山下洋輔先生
祝辞を述べる山下洋輔先生

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