横山だいすけさんによる教職特別講座「子どもの心をつかむ歌い方、話し方、演じ方」を開催しました
2018年3月28日、NHK「おかあさんといっしょ」にて歴代最長の「うたのお兄さん」を務めた、本学声楽科卒業の横山だいすけさんによる教職特別講義が行われました。
「子どもの心をつかむ歌い方、話し方、演じ方」と題し、横山さんが「うたのお兄さん」としてご経験された貴重なお話を伺うことができました。
会場のオーケストラスタジオは、教職課程を履修する学生たちで満席。横山さんによるお話しあり、実演ありの熱気に溢れた90分間の講義をレポートします。
声楽の基礎があるからこそ挑戦できる
何よりも歌が好き、子どもと接することが好き、と話す横山さん。講義では、「うたのお兄さん」になるまでの音楽歴をお話しくださいました。
歌が好きで合唱団に入団した小学生の時、「うたのお兄さんになりたい」と決心した高校生の時、声楽をひたむきに学んだ大学時代、そして劇団四季を経て、晴れて「うたのお兄さん」としてオーディションに合格するまでのさまざま葛藤、大切な人との出会いなどを緩急織り交ぜながらお話ししていらっしゃいました。
合唱、クラシック、ミュージカルの経験を経て「うたのお兄さん」になった横山さんですが、くにたちで正しい発声、声楽の基礎を学んだことが、現在につながっていることを繰り返しお話しされていました。
そしていよいよ「子どもの心をつかむ歌い方、話し方、演じ方」についてのお話です。
子どもたちに歌を伝えるために必要なこと
実際にNHKでの研修が始まってみると、苦労の連続。「だいすけくんの歌はつまらない」と童謡の福田和禾子(わかこ)先生からご指導を受ける日々…。
子どもの歌はメロディーよりも歌詞が優先、歌詞の意味が子どもたちに伝わるかどうかで、子どもたちの反応が変わる、ということを学んだそうです。
また、子どもたちは、歌詞の意味と同時に、言葉によって変わる音色の違いや、歌っているその表情からもそのニュアンスを本能的に感じ取り、反応を返してくれることがある、と実体験からお話しくださいました。
心を掴む話し方では、収録で毎回集まる45人の子どもたちにどうやったら話を聞いてもらえるか、ということを実践を交えながらお話しいただきました。
緩急をつける、声の大きさを変える、急に間の取り方を変えるなど、子どもの注意を引いたり、何か面白いことが起きるかもしれない、と期待を持ってもらうことも大切、とのことでした。
心をつかむ演じ方では「役を演じることで歌の表現の幅、キャラクターの幅を広げる」ということを意識した、ロールプレイを行いました。《犬のおまわりさん》を例に、歌うのではなく、歌詞を「話す」ことで、歌詞に描かれたキャラクターを演じ分けていました。フロアの学生にやってみたい人を募り、横山さんの間近で演じるという貴重な経験をした学生も。学生を優しく見守る姿がとても印象でした。
歌い、踊る!そして…
そして、心をつかむ歌い方、話し方、演じ方のまとめとして、横山さんによる歌の「レッスン」が始まりました。《ぞうさん》、《チューリップ》では、情景を思い浮かべながら歌うことのアドバイスを。《どんな色がすき》、《鬼のパンツ》では、学生たちを盛り上げて、一気に歌の世界に引き込みます。《にじのむこうに》をじっくりと聞かせてくださった後は《ぼよよん行進曲》で学生たちと共演。「みんな歌いたくてウズウズしてたんだね!」といたずらっぽく笑うと、全力で歌い、踊りました。
興奮冷めやらぬ中、最後に横山さんから《ありがとうの花》の歌のプレゼントがありました。横山さんの優しい歌声に涙する学生も…。
講義の記念に全員で写真を撮影し、あっという間の90分となりました。
これから実際に教育現場で働く学生たちにとって、横山さんの「現場」でのご経験談は何よりのエールになったことでしょう。
今回の講義を通し、それぞれが改めて、音楽を伝えるとは?子どもと向き合うとは?と考える機会になったのではないかと思います。