鐘の音色にくつろぐ二人のイラストレーション
History

-トピックでひもとく-
アンサンブルの
くにたち

IV

Vivace

1990-2010

時代の流れに対応すべく 
画期的な2学科を新設

応用演奏学科の授業風景 (1995年)

1980年代から1990年代にかけ、日本のエレクトロニクス技術は大きく進展し、人と音楽の関わりにも新たな変化をもたらしました。こうした時代背景のもと、大学は、1991(平成3)年4月、声楽学科、器楽学科、作曲学科、音楽学学科、音楽教育学科に加え、新たに2学科を新設します。

1つは、4年制の音楽大学としては日本初となる電子鍵盤楽器について体系的に学ぶ「応用演奏学科」です。「創作能力」「演奏能力」「楽器と音楽に関する知識」を3本柱とするカリキュラムを編成しました。そして2つ目が、当時としては先駆的な概念ともいえる、コンピュータ音楽を学問として扱うことを中心とした「音楽デザイン学科」です。ここでは音楽と生活の関わりの変化に対応しうる知識や手段を備えた人材を育成することを目指していました。吉田泰輔学長(当時)は、変貌を遂げる現代の音楽シーンにいち早く対応するこの2つの学科から、次代の音楽界を切り拓いていく人材を数多く輩出することを目指したのです。

新設された学科を支える学習環境として、AVラボやスタジオを配した6号館も竣工されます。この新たな施設や機材は、教育や研究への活用だけでなく、広く社会に向けた情報の発信地としての役割も果たしていくようになりました。

グローバル化を目指し 
海外協定や海外交流を推進

ブラスオルケスタ― アメリカシカゴ市での「ミッドウェスト・クリニック」に参加(2011年)(左端:三浦徹、右端:武田忠善)
国立音楽大学ー国立台湾師範大学吹奏楽交歓演奏会(2008年・台湾と本学で開催)

本学は、本場の音楽を学ぶ体制づくりにも力を入れてきました。著名な演奏家による公開レッスンや海外研修の奨学金制度等はその例です。

2007(平成19)年、体制強化とグローバル展開を目指し、ウィーン音楽・演劇大学と交換留学協定を結びました。その後も、2009年に国立台湾師範大学、2013年にソルボンヌ大学、ジュネーヴ高等音楽院と協定を結び、現在では交流協定も含め世界13の高等教育機関と協定を締結しています。

国立台湾師範大学との協定のきっかけは、2007年の「国際バンドフェスティヴァル」へのウインド・アンサンブル研究会の参加でした。以後、同大学とは、多くの研究・交流を行っています。2011年には、ブラスオルケスターが渡米し、シカゴ市で開催中のコンサートに参加。さらにロチェスター大学イーストマン音楽学校では交流演奏を実現させました。2014年には東南アジアツアーを行い、海外での演奏活動を広げています。

こうした交流の拡大に伴い、2023年には、海外の大学等との交流活動、留学生の学修・生活支援を行う「グローバルセンター」を開設。外国人留学生と日本人学生の交流促進にも取り組んでいます。

大規模な学科再編と 
博士後期課程の設置

大規模な学科再編を紹介するパンフレットとCD-ROM「生まれ変わる“くにたち”をもっと知っていただくために」

21世紀を迎えた2004(平成16)年、時代にふさわしい音楽大学のあり方を新ためて問い直し、抜本的な教育システムの改革を行います。それまでの7学科を、「演奏学科」「音楽文化デザイン学科」「音楽教育学科」の3学科に再編統合し、教育体系に柔軟性を持たせ、学生の多様なニーズに応えられるようなカリキュラムに改編しました。

この新しい教育システムでは、1~2年生全員が大学人・音楽人としての基礎教育を徹底して受け、3年生以降はその基礎能力を活かし、自身の能力に応じたフレキシブルな学びを実現することが可能となります。

その2年後の2006年には、「コース制」を導入し、3年生からの専門課程として、自身の将来の目標やビジョンを実現すべく専門性を磨く制度としました。また、同年に「アドヴァンスト・コース」を設置。向上心の高い学生が、卒業後も学習を継続できる場を提供しています。

2007年には大学院音楽研究科博士後期課程を設置。これは自らの演奏論、創作理論を展開できる演奏家や作曲家、世界に向け情報発信できる音楽学者、音楽教育学者の育成を目的としています。これらの成果は、わが国の音楽分野の学術的発展に大きく寄与しています。

優れた演奏家集団であることを 
多種多彩なコンサートでアピール

演奏部企画 モーツァルト・シリーズ最終回 オペラ『魔笛』(2003年)

本学は、教育・研究機関という使命に加え、教員も含めて「優れた演奏家集団である」との認識を共有しています。この理念のもと、2000(平成12)年に「演奏部」(現:演奏芸術センター)を設置しました。学生の教育成果の場であることはもちろんのこと、成果を学内外に広く発信する活動も新たな目的として加わりました。演奏活動を活発化するための工夫、コンサート自体の企画・制作まで行う専門部署として機能しています。

記念すべき第1回企画は、「モーツァルト連続演奏会」で、2001年5月から7回のコンサートを開催。2003年にはシリーズ最終回となるオペラ『魔笛』を公演し、教員、在校生、卒業生らにより組織された「クニタチ・フィルハーモニカー」と「くにたちフィルハーモニー合唱団」も参加しました。

2002年からは「親子で楽しめるファミリー・コンサート」を始めます。乳幼児から参加できる企画で、親子で気軽に音楽を楽しめるよう工夫されています。こうした活動は、地元企業からも賛同を受け、株式会社いなげや(本社・立川市)からは公演に対する多くの支援を得ています。

『聴き伝わるもの、聴き伝えるもの』第1夜(2005年)
親子で楽しめるファミリー・コンサートの様子(2004年)

さらに2005年からは“20世紀音楽から未来に向けて”をコンセプトに、「聴き伝わるもの、聴き伝えるもの」演奏会シリーズがスタートします。このシリーズでは、多くの現代音楽作品を取り上げ、難解かつ高度な演奏技術を要する作品にも積極的に挑戦しています。

演奏芸術センターは、「優れた演奏家集団」として、学内外を問わず演奏活動を広げ、企画・制作コンサートも多く手掛けています。

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