小曽根真:ピアニスト・作曲家〔国立音楽大学客員教授(演奏・創作学科)〕
国立音楽大学創立100周年、心よりお祝い申し上げます。
何故このクラシックの名門校から山下洋輔氏をはじめとする数々の素晴らしいジャズミュージシャン達が生まれたのか不思議でしたが、ジャズ専修の立ち上げから国立の教授陣やスタッフの皆様と共に音楽教育を進めていく中、その謎は解けました。それは音楽の「ジャンル」や「演奏方法」へのこだわりを超えた、「音楽の本質」を何よりも大切にしたいという皆さんの熱い思いでした。クオリティーの高い理解力や演奏能力や知識を学生たちとシェアしながら、「それぞれの若い才能達の表現したい何か」を探すお手伝いをする。それはデジタル化が急速に進み、人間の創造性が問われる今の社会においては極めて大切な事だと僕は確信しています。その土壌のお陰で国立音大独自のカリキュラムを持つジャズ専修が立ち上がりました。これからも個性に溢れる素晴らしいアーティストがこの国立から生まれてくると確信しています。