国立音楽大学

嘉目真木子(ソプラノ歌手)

くにたちでオペラの魅力に触れ
歌い演じる楽しさを知りました

/2017年10月

プロフィール

嘉目 真木子 さん(よしめ まきこ)
YOSHIME Makiko
ソプラノ歌手

嘉目真木子(ソプラノ歌手)

大分県出身。国立音楽大学声楽科、同大学大学院オペラコース修了。東京二期会オペラ研修所マスタークラス修了(優秀賞受賞)。2010年東京二期会『魔笛』にパミーナ役で出演し本格的にデビュー。東京二期会『フィガロの結婚』のスザンナ役、『ドン・ジョヴァンニ』のツェルリーナ役、『パリアッチ(道化師)』のネッダ役、KAATネオ・オペラ『マダム・バタフライX』の蝶々さん役などを経て、平成24年度文化庁派遣新進芸術家海外研修員としてイタリア・フィレンツェへ留学。帰国後は東京二期会『魔笛』、神奈川県民ホール開館40周年記念オペラ『金閣寺』などに出演、2016年NHKニューイヤーオペラコンサートに初出演を果たす。2017年には『椿姫』ヴィオレッタ役、大分iichiko総合文化センター・神奈川県民ホール・東京二期会共同制作オペラ『魔笛』にパミーナ役で出演。同年2月にファーストアルバム『My favorite songs─わたしのお気に入り─』をリリース。東京二期会会員。

インタビュー

今後のオペラ界を担う逸材として大きな期待が寄せられている、ソプラノ歌手の嘉目真木子さん。
コンサートソリストとしても国内主要オーケストラと共演を重ね、多忙な日々を送っています。
くにたちでイタリアオペラの魅力を知り、現在は恩師と同じ舞台に立つこともあるという嘉目さんに、
学生生活の思い出や現在の仕事のことまで語っていただきました。

くにたちの正門をくぐった瞬間「ここだ」と思った

キャンパス内にて

―小さな頃から歌うことが好きだったのですか

 小学校2年生の時に地元の児童合唱団に入ってから、「歌うことはおもしろい」と意識するようになりました。そして次第にソロでも歌いたくなり、地元である大分県ゆかりの作曲家、滝廉太郎にちなんだコンクールには、小学校高学年からソロで出場していました。
 高校は声楽を専門的に学びたいという思いもあったのですが、「高校の時点で専門を決めると将来の可能性を狭めてしまうのでは」という周囲からの意見もあり、普通高校に進学しました。中学に続いて合唱部に入り部活に打ち込む一方で、歌のレッスンにも通っていました。2年の時点で、「音大で声楽を学びたい」という気持ちが固まっていましたね。両親ははじめ反対しましたが、必死に説得して受験を許してもらいました。進学校だったので音大受験のための情報などは皆無でしたが、それを自覚することもないまま受験に臨んだという感じでしたね。

ーくにたちを選ばれたのはなぜでしょう

 もともとくにたちは声楽に強いという認識があって受験を決めたのですが、何よりも先生方が第一線で活躍されている現役の方ばかりというのが大きな魅力でした。受験で初めてキャンパスを訪れ、正門を入った瞬間、不思議なほど空気感がしっくりきて、ごく自然に「自分の居場所だ」と感じました。広がりを感じるキャンパスも、田舎で育っている私には合っていたのかもしれません。

一流の先生方から学べる恵まれた学生時代

―大学でいよいよ声楽を専門的に学べることになりました

 大学ではオペラを学びたいという漠然とした思いはあったものの、オペラにもいろいろな種類があることすらわかっていませんでした。生まれて初めて聴いたオペラが『魔笛』だったので、ドイツ語のオペラを勉強することになるかなと思っていた程度です。それが、イタリアオペラがご専門の小笠原茂子先生に指導していただいたことで、新しい扉が開きました。小笠原先生は、普段はとても温厚でやさしいのですが、レッスンでは一切の妥協も手加減もされません。よりよい音楽を目指し、細部にわたってご指導いただきました。それまではただ声を出して気持ちよく歌うということしか経験してこなかったので、このような指導は衝撃的でした。小笠原先生との出会いは、私の人生に大きな影響を与えた出会いの1つです。
 2年まではイタリアの歌曲や声楽教本などを中心に基礎をみっちり学び、3年になるとオペラアリアの課題曲が増えました。さらに先生から言われることがより深く理解できるようになり、歌うことがこれまで以上に楽しくなりました。もっと勉強したいと思い、大学院への進学を決めたのも3年の時です。大学院では10月にオペラ公演があるので、その舞台に立ちたいという目標もありました。両親も大学院への進学は反対しないでくれましたね。

―くにたちでの学びはいかがでしたか

 歌のレッスンはいつも楽しみでした。4年のカリキュラムにある「オペラ演習」はとりわけ印象深く残っています。モーツァルトのオペラ作品のアンサンブル演習を通してオペラの基本的舞台表現法を学び、この授業で歌い演じることの楽しさを初めて知りました。卒業してから痛感したのですが、くにたちは本当に先生方が超一流で、そういう方々から学べるというのは実に貴重なことでした。「あの時もっと真面目に授業を受けていれば」と反省することも多々あり、学生時代はその恵まれた環境にあるという自覚が今ひとつ足りなかったことを申し訳なく思うほどです。

―在学中、壁にぶつかったことはありましたか

 大学院1年でのオペラ公演は『イドメネオ』になり、私はエレットラというキャラクターの濃い役をいただきました。私なりに模索してキャラクターづくりをしたのですが、体ができあがっていないのに一生懸命歌ったため喉を痛めてしまい、2週間ほど歌うことができませんでした。未熟なりに大きな役を歌って演じなければいけないということで、無理をしてしまったんですね。それが大学院に入ってすぐのことだったので早々につまずいてしまった感じでしたが、それでも大学院でオペラを学べたことは素晴らしい経験になりました。卒業の際、教えていただいた福井敬先生に友人たちと贈った寄せ書きには、「早く先生と同じ舞台に立てるように頑張ります」と書きました。それが去年ついに実現できて、感無量でした。

オペラでは自分自身も作品の一部

神奈川県民ホール前にて、パミーナ役で出演の『魔笛』看板と

 ―卒業後のご活躍にはめざましいものがありますね

 卒業後は東京二期会の研修所に入りました。ほかにもオペラの研修所はありますが、二期会は公演もさまざまなレパートリーがあるし、何よりくにたちで教えていらっしゃる現役の先生方に、二期会の方が多いのが決め手になりました。2010年に『魔笛』のパミーナ役で本格的にデビューしたのですが、今思えば、この時のオーディションがその後の運命のわかれ道だった気がします。この大役をいただいた後はいくつもの演目が続き、ただただ突っ走る日々でした。こうしていくつかの大きな公演に出させていただいてから、イタリアに留学しました。
 滞在先のフィレンツェはオペラ発祥の地ということで、町そのものが「芸術」のようなところです。また、歌う時の声の振動数が湿度によって違う気がしました。イタリアの乾燥した空気が歌に合っているのでしょうか、歌っていてとても気持ちがよかったですね。
 今年はファーストアルバムをリリースしました。実は、高校生の頃は目標にしていたことでしたが、実際に人前で歌うようになると、私自身は常に発展途上なのにそれを収録するなど、とても怖くてできないと思うようになっていました。オペラやコンサートは生ものなのでその空間も含めて楽しんでいただくことができますが、CDはそうはいきませんから。けれど東京まで聴きに来られない地元、大分の方々がとても喜んでくださり、そういったいい面もあると気づくことができました。

2018年にフランスで、2019年に日本で出演予定『金閣寺』の制作発表会にて、演出の宮本亜門さんと

―演奏活動で大切にしているのはどんなことでしょう

 オペラでは役柄を演じるので、「評価されたい」、「自分を見て」などとは思わないようにしています。お客様には物語とその音楽に没頭していただけたらいいなと思っているので、私自身もあくまでも作品の一部でいようと。また、体力づくりも大事なことなので、週に2、3回ジョギングをしています。来年は宮本亜門さんの新演出オペラ『金閣寺』の日本&フランス公演があり、抜擢していただいた期待に応えたいという気持ちも大きいので、そういう点でも健康管理は大事な仕事ですね。
 オペラでは「いつかやりたい」と目標にしている役があります。1つは『コジ・ファン・トゥッテ』のフィオルディリージ。これはオーディションに合格し、来年実現できることになりました。そして人としてもより成熟したら、『ばらの騎士』のマルシャリンの役をいつか演じてみたいですね。

 

―くにたちをめざす人たちへのメッセージをお願いします

 くにたちは音楽を学ぶ上ですべてのものがそろっています。一般教養から専門まで超一流の先生方もいらっしゃり、東洋一の蔵書数がある図書館もあります。そして広々としたキャンパスも、学ぶことに集中できる環境です。私ももう一度、学生に戻りたいくらいです(笑)。学生自身がやる気になれば、どこまでも力を伸ばすことができるので、ぜひ自分の可能性をこのくにたちで広げてください。

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