国立音楽大学

阪上 正巳 (さかうえ まさみ)

阪上 正巳(さかうえ まさみ)

職名:教授

所属:音楽文化教育学科

担当:音楽療法

学位:博士(医学)

プロフィール

埼玉県生まれ。1983年金沢大学医学部卒業。自治医科大学精神医学教室(宮本忠雄教授)にて精神病理学を学び,1989-1990年ウィーン大学医学部精神科に留学。同時にウィーン国立音楽大学音楽療法科聴講生として学ぶ。国立精神・神経センター武蔵病院医長を経て現在,国立音楽大学教授。医学博士,精神保健指定医,日本精神神経学会精神科専門医。著書・翻訳書:『精神の病いと音楽 -スキゾフレニア・生命・自然』(廣済堂出版,2003),『芸術療法実践講座4 音楽療法』(共編著,岩崎学術出版社,2004),『音楽療法事典[新訂版]』(共訳,人間と歴史社,2004),『文化中心音楽療法』(監訳,音楽之友社,2008)など。日本芸術療法学会理事,日本病跡学会理事,日本音楽療法学会評議員。

授業への取り組み

音楽療法とその関連領域(精神医学,各種心理学など)について,入門的な事柄から最新の研究状況まで体系的に,また高度な内容もわかりやすく講義するよう心がけている。その際,とくに音楽療法については,実際の臨床場面を紹介する映像資料や音源など視聴覚教材を多く用いて具体的かつリアルに伝えるべく努力している。

現在の研究テーマ・内容

統合失調症に対する音楽療法の効用について,医療機関における実践に基づきながら精神病理学的に研究している。また,音楽療法の基礎学として,音楽と人間の複雑な関係を考える「臨床音楽学」という新たな学問領域の可能性を探究している。

主な研究活動

項目 著書、論文、演奏活動等の名称 単共の別 発行又は発表の年月(開催日時) 発行・発表雑誌、場所等の名称 概要
著書 精神の病いと音楽 スキゾフレニア・生命・自然 2003年11月 廣済堂出版 総頁/215頁  「統合失調症と音楽」というテーマに関する研究のまとめを単行本にしたもの。第1章では,文献的知見と自身の即興演奏による体験をもとに,統合失調症者の音楽表現を紹介した。第2章では,それらの音楽表現の背景にある精神病理学的意味を,従来的な見方に加えて筆者なりの視点からも考察した。第3章では,統合失調症に対する精神療法論を参照しつつ,合奏療法における独特な音楽体験を具体的に記述し,その治療的意義を考えた。第4章では,そこで実現している「審美的」な音楽の意味を,病者のみならず,人間のリアルな生やその回復との関連で考察した。
学術論文 「臨床音楽学」の可能性.-音楽療法の基礎学として 2005年 3月 国立音楽大学音楽研究所年報第18集 1~22頁  「臨床音楽学」という新しい学問領域を提案し,その内実と可能性とを考察した論文。まずこの新たな分野を発想した経緯を述べ,次いで諸学における「臨床」接頭の意味を検討し,「臨床音楽学」における「臨床」の意味とこの学問の位置を考え,最後にその見取り図を提示した。「臨床音楽学」は,1)医学・生物学的視点,2)心理学的視点,3)社会学的視点,4)人類学的視点,5)美学・哲学的視点,という5つの次元において人間と音楽との関係性を問うものである。
学術論文 分裂病者の音楽表現に関する精神病理学的研究 2002年 3月 国立音楽大学音楽研究所年報第15集 1~49頁  本邦のみならず外国においても未だ未開拓の精神分裂病者(統合失調症者)の音楽表現病理について検討した論考。文献の展望を踏まえつつ,自らの体験した比較的重篤な非妄想型15症例の即興演奏表現を詳細に記述し,得られた所見を従来の精神病理学的知見で理解したうえで,さらに音楽に独自の視点から,病者の表現のもつ臨床的意義を積極的に把握しようと試みた。最後にはそこから得られる治療的帰結を付した。
学術論文 作品からみた音楽家の病跡-新ウィーン楽派と「分裂病性」 1992年12月 日本病跡学雑誌第44号 27~41頁  いわゆる新ウィーン楽派に属する3人の音楽家,すなわちシェーンベルク,ベルク,ウェーベルンの生涯と音楽とを比較病跡学的に検討した論文。シェーンベルクにパラノイア性,ベルクに循環病性および神経症性,ウェーベルンに統合失調症性というふうに,それぞれの生涯と性格にはきわめて興味深い対照がみられ,音楽創造にもそれが色濃く反映していた。3者の比較ののち,とくにウェーベルンに焦点を合わせて検討し,その音楽創造のプロセスが統合失調症の精神病理学的理解に資するものでもあることを見出した。
学術論文 分裂病者に対する音楽療法の可能性-「志向性トレーニング」を超えるもの 1989年12月 臨床精神医学第18巻12号 阪上正巳,花村誠一,1845~1855頁  一破瓜病患者の精神病理と音楽表現の特徴を検討しながら,精神分裂病(統合失調症)に対する音楽療法の治療的意義を考察した。時空的パースペクティヴの交替を要する音楽行為は,相互主観性の障害を有する病者にとって,「志向性トレーニング」(W.ブランケンブルク)たる要件を備えている。のみならず,J.ケージの音楽論を参照すれば,いわば「時間以前」に引き留められている患者の病態に対して,音楽は前志向的な出来事性の次元に作用することが理解される。

PAGE TOP

お問い合わせ・資料請求
学校案内、入学要項などをご請求いただけます
資料請求
その他、お問い合わせはこちらから